『水辺の環境学 生きものとの共存』『続・水辺の環境学 再生への道をさぐる』桜井善雄(新日本出版社1991年、1994年)
■ 友人のIT君から借りた上掲本2冊を読んだ。ともに30年も前に出版された本。水辺の環境保全の必要性を論じている。
そのころは治水という観点のみから河川改修が盛んに行われ、水辺の環境が大きく変わってしまうという結果を招いていた。著者はそのような状況を各地に取材し、環境保全という観点から課題を指摘している。そして、その解決策について、先進国であるドイツなどの事例を紹介している。
例えば「ブランケット」と呼ばれる河川改修について、著者は次のように紹介している。**ブランケットの造成は、漏水防止には有効な工法の一つであるし、また造成された平坦な高水敷は、野球グラウンド、公園、ゴルフ練習場などにも利用できる。しかし一方で、このような工法は、河岸帯の自然環境を広い範囲にわたって犠牲にすることも事実である。(後略)**(106頁)
これは長良川の下流域の事例。かつてここにはヨシやヤナギ類などの植物群落があり、付近の浅瀬には多種の水生植物の生育も確認され、魚類や野鳥たちの生活・繁殖の場所になっていたという。
『続・水辺の環境学』はサブタイトルが「再生への道をさぐる」となっている通り、環境保全を考慮せずに行われた治水のための河川改修によって失われた水辺の環境を取り戻すために、再び行われた河川改修事例の紹介。
治水から利水、そして環境保全へと大きく変化してきた河川の捉え方。今現在、どのように論じられているのか、勉強してみたい。
この辺で切り上げて、本を読まなきゃ。