■ 『お地蔵さまのことば』吉田さらさ(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2014年 図書館本)を読んだ。読んだというより、見たかな。
タイトルはお地蔵さまのことばとなっているけれど、観音さまや阿弥陀さま、そしてうれしいことに狛犬のことばも載っている。黙して語らぬ石仏だけれど、著者の吉田さらささんが耳を澄ましてみると、お言葉が聞こえてくるそうで、この本には58のお言葉が載っている。
こころに染みるそれらのお言葉も好いけれど、吉田さんが撮影した石仏の写真がとても魅力的。見開きワンセットで写真とお言葉が載っていて、カラー写真が左のページの全て、中には両ページに大きく載せているものもある。石仏の全形写真もあれば、顔だけのアップ写真や周辺の様子まで写し込んだ写真もある。載っている写真はどれも石仏の魅力をきちんと写している。
カバー折り返しに吉田さんのプロフィールが載っていて、寺と神社の旅研究家、早稲田大学第一文学部美術史学科卒と紹介されている。なるほど、鑑賞眼がきっちり磨かれているのだろう。だから石仏の魅力を的確に捉えることができるのだ。
上掲の表紙の写真は長崎市の清水寺の地蔵菩薩。赤い毛糸の帽子がお地蔵さまの童顔によく似合っていている。元々の顔が破損したため、新しい顔にすげ替えられたとのこと。
で、このお地蔵さまのお言葉は・・・。
**変わらないのが一番のご利益** 全58のお言葉で一番共感したのはこのお言葉。この言葉の通りだなぁ、と思うようになったのは歳を取ったから?
**僕、困ってるんです。
ご利益はまだかとせかす人が多すぎて。
でも、もっと困るのは、ご利益に気づかない人。
健康で家があって仕事があって。
みんなのそういう「普通」を支えているのが
実は僕たちだって、知ってましたか?**(006頁)