■ 10月の読了本は6冊。
『笑う月』『密会』安部公房(新潮文庫)
新潮文庫に収録されている安部公房の作品を月2冊のペースで今年の3月から読んで来た。読んで感じるのは小説家に求められる能力をきっちり備えているということ。発想が豊かでそれを小説に仕立てる創造力・構成力、更にそれを文章化する能力に秀でていることだ。だからこそ、ノーベル賞候補に名が挙げられ、今なお読み継がれる作品を遺すことができたのだろう。
『41人の嵐 台風10号と両俣小屋全登山者生還の一記録』桂木 優(ヤマケイ文庫)
あきらめず、生還するという強い意志。みんなで生還するという連帯感。
『日ソ戦争 帝国日本最後の戦い』麻田雅文(中公新書)
**日ソ戦争とは、1945年8月8日から9月上旬まで満州・朝鮮半島・南樺太・千島列島で行われた第2次世界大戦最後の全面戦争である。**本書の帯の文章からの引用。
終戦直前のソ連参戦については、全く何も知らなかった。本書によってその概要をはじめて知った。知らないことを知りたいと思う気持ちはいつもでも持ち続けたいものだ。先日書いたように、これからは第二次世界大戦の関連本を意識的に読んで行こうと思う。
『詭弁社会 日本を蝕む〝怪物〟の正体』山崎雅弘(祥伝社新書)
パターン1:間違った定義から話を始める
パターン2:論理的思考と情緒的思考のすり替え
パターン3:間違った二項対立と極論への飛躍
(以上本書の帯より)
**日本では「批判」という言葉は「否定的」と混同して使われることも多いですが、批判的思考は必ずしも対象を否定的に捉える思考ではなく、論理的に問題点の洗い出しを行なうことで、対象の完成度を高めるという肯定的効果が得られる場合もあります。**(114頁) これは覚えておきたいことば。
『奪還 日本人難民6万人を救った男』城内康伸(新潮社)
終戦直後に北朝鮮に取り残された日本人を身を賭して帰還させた人物がいたことを本書で知った。どの時代にも凄い人はいるものだな、と改めて思う。