360
■ 2024年1月、今年初めてのブックレビュー。読んだのは写真の8冊と図書館本の朝井まかて『白光』。
『アノニム』原田マハ(角川文庫)
年越し本。既に読み終えている原田マハさんの作品の中では『アノニム』が一番娯楽性の高い作品だった。これで読もうと思っている作品は『風神雷神』だけになった。この長編小説を読んで一区切りとしたい。
『モダン』
『異邦人』
『美しき愚かものたちのタブロー』
『楽園のカンヴァス』
『黒幕のゲルニカ』
『本日はお日柄もよく』
『たゆたえども沈まず』
『カフーを待ちわびて』
『デトロイト美術館の奇跡』
『リーチ先生』
『リボルバー』
『ジヴェルニーの食卓』
『常設展示室』
『グッドバイ』朝井まかて(朝日文庫)
実在の商人・大浦 慶の生涯。表現力豊かな朝井さんの作品は追っかけしてもよい。
『免疫「超」入門』吉村昭彦(講談社 ブルーバックス)
ヒトが備えている免疫システムのなんと複雑でなんと巧妙なことか。記憶力の衰えが理解を阻害している。残念。
『坊っちゃん』夏目漱石(集英社文庫)松山旅行を機に再読した。
松山での一年足らずの教員生活の後、東京に戻ってきた坊っちゃん。**(前略)革鞄を提げたまま、清や帰ったよと飛び込んだら、あら坊っちゃん、よくまあ、早く帰って来て下さったと涙をぽたぽたと落とした。おれもあまり嬉しかったから、もう田舎へは行かない、東京で清とうちを持つんだと言った。**(173頁)
これはもう母と息子の涙の再会シーンではないか。読んでいてそう思ったら涙が出た。漱石は坊っちゃんに我が身を重ね、清に母親を求めていたのではないか。そう、坊っちゃんにとって、そして漱石にとって清は母親だったのだ。以上01.15の記事。
『眠れないほど面白い 空海の生涯』由良弥生(三笠書房 王様文庫)
空海は天才だ。他に評しようがない。
『源氏物語と日本人』河合隼雄(岩波現代文庫)
**紫式部という女性が、自分の内界に住む多くの分身を語りつつ、全体として一人の女性存在を表そうとするとき、その中心に、言わば無人格的な光源氏という男性を据えることにしたと考えられる。**(201頁)自分の分身としての女性像。なるほど、心理学者である著者は、こう捉えるのか・・・。
『生き物の「居場所」はどう決まるか』大崎直太(中公新書)
生物が個体として持っている生き残るための複雑なシステム。そして本書に示されている群として持っている生き残るための様々な戦略。
『在日米軍基地』川名晋史(中公新書)
**世界で最も多くの米軍基地を抱え、米兵が駐留する日本。米軍のみならず、終戦後一貫して友軍の「国連軍」も駐留する。なぜ、いつから基地大国になったのか。米軍の裏の顔である国連軍とは。**カバー折り返しの本書紹介文より
本書から日本が戦争しない国から戦争できる国、戦争する国に変わっていくプロセスを読み取ることができる。
『白光』朝井まかて(文藝春秋)
この国初の聖像画師(イコン画家)山下りんの生涯。『グッドバイ』の大浦 慶と山下りん。ひたすら自分の人生を生き切ったふたりの女性。
*****
2020年、松本市内の古書店に1,700冊の本を引き取ってもらった。その時、店主のWTさんから読書の傾向が全く分かりません、と言われたけれど、1月のブックレビューを見ると、自分でも分からない。
今後、読書困難者にはならないと仮定しても読むことができる書籍は10年で500冊。どうする、何を読む。