■ 安部公房生誕100年の今年(2024年)、『箱男』が映画化され、公開される。あの前衛的な作品がどう映像化されたのか興味深い。観たいと思う。新潮文庫に収められた安部公房作品(戯曲を除く)を一通り年内に再読しようと思い、3月は4作品読んだ。
さて、3月読了本のレビュー。
『他人の顔』安部公房(新潮文庫1968年発行、1972年8刷 解説 大江健三郎)
自己を根拠づけるものは一体何なのか、それは顔なのか・・・。
『人間そっくり』安部公房(新潮文庫1976年発行、1993年28刷)
「私は人間である」という証明不可能なことに対処するって、どういうことなのか・・・。
『石の眼』安部公房(新潮文庫1975年)
推理小説仕立ての作品。よくできたストーリーだとは思うが、なんとなく物足りなさを感じてしまった。
『夢の逃亡』安部公房(新潮文庫1977年)
初期の短編集。人間とはなにか、人間が存在するとはどういうことなのかを問う。安部公房の一貫したテーマ。
『ウマは走る ヒトはコケる』本川達雄(中公新書2024年)
**サイズとデザインの生物学 完結篇!**(帯から)
歩く・走る、泳ぐ、飛ぶ。動物の移動という運動行為そのもののメカニズム、それを可能にしている動物の体のメカニズムを網羅的に分かりやすく説く。
『豆腐の文化史』原田信男(岩波文庫2023年)
豆腐の発生地、発生時期に関する論考、さらに全国各地を訪ね歩き、その地に伝わる豆腐の製法、調理法などを調査した成果をまとめた1冊。書名の「文化史」にこの本が決定版だという自負が感じられる。
『流人道中記』上下巻 浅田次郎(中央公論新社2020年 図書館本)
浅田さんはこの小説で裁きが依拠する「法」とは何か、を問う。
姦通の罪を犯し、蝦夷松前藩への流罪となった旗本・青山玄蕃と押送人の見習与力・石川乙次郎。津軽の三厩を目指す奥州街道ふたり旅に起こる騒動。最後に明らかにされる罪の真相。
浅田さんは上手い。『一路』上下巻(中公文庫)など他の作品も読みたい。
「21世紀版 少年少女古典文学館」(講談社 全25巻 図書館本)第2巻「竹取物語」現代語訳:北 杜夫
「源氏物語」にも出てくる日本最古と言われる物語。
※ 『言語の本質』今井むつみ 秋田喜美(中公新書 過去ログ)が「新書大賞2024」に決まった(2024年3月24日付 信濃毎日新聞 文化短信)。