透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

建築に秩序を与える方法

2018-12-02 | A あれこれ


富山県美術館 撮影日181201

















TOYAMAキラリ 撮影日181201





「富山県美術館」と「TOYAMAキラリ」

■ TOYAMAキラリの外装は御影石、ガラス、アルミ。異なる素材のランダムな組み合わせによるデザイン。富山美術館にもガラスとアルミが使われているが、両建築の外観デザインは全く違う。

建築をシンプルな幾何学的形態で構成し、その構成要素も同じものを規則的に繰り返す(私はこのことを「繰り返しの美学」と捉え、このブログでも取り上げてきた)。これは近代建築の生産の工業化に伴う合理性に裏付けられた原理でもある。内藤 廣さん設計の富山県美術館はこのような方法で秩序づけられた建築だ。端正で美しく、身を置いていても落ち着く。

隈 研吾さんのTOYAMAキラリはこのような方法によって秩序づけられてはいない。2階から6階まで、斜めに伸びた吹き抜けを見上げていても、そこに空間を構成する幾何学的で単純なルールを見い出せない。隈さんは地元富山県産の杉材のルーバーを繰り返し繰り返し使うことで空間に秩序を与えている。ただし、ルーバーはそれぞれ幅も違うし取り付け角度も違う。

ここ何年かTOYAMAキラリで採られたこのような方法で構成された建築が出現するようになった。今後、このような建築がますます増えるだろう。単純な幾何学的ルールによる秩序付けではなく、絞り込んだ材料の繰り返し使用など、他の方法による秩序付け。

これから出現してくる様々な建築の読み解き、解釈の試みを続けよう・・・。


 


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