320
■『紫式部の実像 稀代の文才を育てた王朝サロンを明かす』伊井春樹(朝日選書2024年)を読んだ。
今日5日は積読状態の本を読むことに時間を割きたいので、ブログは時間をかけず読書メモ的に。
**紫式部の激しい口ぶりからすると、『枕草子』をかなり読み込み、むき出しの対抗心を燃やしていたと思われる。道長から宮仕えを求められた折、中宮彰子を、かつてはなやかだった定子文化サロン以上にし、具体的に清少納言をもちだし、匹敵する働きをするように厳命されたのではないかと思う**(291頁)と著者の伊井さんは論じ、さらに次のように続ける。**紫式部は必要以上のライバル意識を植え付けられ、その向かうところが『源氏物語』であり、中宮彰子の姿を描く『紫式部日記』であった。**(291頁)
人のこころの動きは今も1000年前も変わらないものだ。
清少納言と紫式部は同時期に宮仕えをしてはおらず、宮中で対面したことはなかったというのが一般的な見解ということだが(本書でもこのことに言及している。290頁)、大河ドラマ「光る君へ」ではこの点を変え、宮中で二人が会っていたことにしてドラマを展開していた。
**(前略)道長の出家のあたりになると、紫式部の姿はなく、その後の動向はまったくつかめない。**(318頁)とのこと。「光る君へ」ではこの空白期間を上手く使い、まひろ(紫式部)が大宰府へ旅をしたことにしている。
本書で紹介される清少納言のイメージは「光る君へ」でファーストサマーウイカさんが演じている清少納言とよく合っている。
**皇太后彰子の御所では、実資の「心寄せの人」は女房紫式部であったといえる。**(325頁) 実資の『小右記』の記述から読み解けるそうだ。そうだったのか・・・。本書の発行は2月25日。もっと早く読んでいれば、「光る君へ」の見方も変わっていたかも。
『枕草子』ビギナーズ・クラシックス 日本の古典(角川ソフィア文庫2001年7月25日初版発行、2024年9月20日70版発行)
紫式部もきっちり読み込んでいたという清少納言の『枕草子』。昔読んだ文庫本も橋本 治の桃尻語訳も書棚に見当たらず、新たに買い求めた。読まなくては・・・。
最新の画像[もっと見る]
- 「お地蔵さまのことば」を読む 1時間前
- ヤバ! Y字路に沼るかも・・・ 1日前
- ヤバ! Y字路に沼るかも・・・ 1日前
- ヤバ! Y字路に沼るかも・・・ 1日前
- 善光寺界隈で繰り返しの美学 1日前
- 善光寺界隈で繰り返しの美学 1日前
- 善光寺界隈で繰り返しの美学 1日前
- 読書@善光寺仲見世通りのスタバ 1日前
- 読書@善光寺仲見世通りのスタバ 1日前
- 読書@善光寺仲見世通りのスタバ 1日前