透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

芝棟って何?

2006-07-30 | A あれこれ

○民家 昔の記録(7910)

このブログによく出てくる藤森さん、最近肩書きの建築史家に建築家が加わった。自然素材をうまく使ってなかなか味のある建築を設計している。今年の5月号だったか藤森さんの作品がとうとう建築専門雑誌「新建築」の表紙を飾った。

藤森さんの住宅作品、屋根に植物を植えることがある。国分寺の自邸の壁や屋根にはタンポポが植えてある(『タンポポ・ハウスのできるまで』朝日新聞社に詳しい)。

藤森さんの友人だという赤瀬川原平さんの自宅の屋根にはニラを植えてしまった。そのときの経緯を赤瀬川さんは『我輩は施主である』(こちらは読売新聞社)にユーモアたっぷりに書いている。他にも屋根のてっぺんに松を植えて一本松の家などとネーミングしてみたり、建築を楽しんでいる。

藤森さんはときどきテレビにも登場するが実に楽しそうに建築を語る。その藤森さんの植物建築のネタはむかしの民家にある(どこかにそう書いておられたから確かだ)。 この写真、むかし群馬県の武尊山に登ったとき、麓の村で撮った。利根川の上流の村だ。

棟に注目、写真が鮮明でないが草が生えている、木も写っていることが分かる。芝棟。草棟ともいう。そう、藤森さんのネタ民家。棟に偶然生えたわけではなく植えたもの。屋根の棟はふたつの屋根面が交叉するところで、雨仕舞い上弱点になりやすい。収まりに工夫を要する。また意匠上も開口部と共に外部の重要な部位だ。 草や木の根に棟の雨仕舞いの効果を期待したものと考えてよさそうだ。 

むかしの人たちは身近なものを使っていろいろ工夫していたことが分かる。 この頃はこのような民家を見かけることはほとんどなくなってしまった。郊外などで偶然見かけるとついつい近づいて観察してしまう。

「民家は先達が残したアイデアの宝庫」だから。

民家 昔の記録 まだつづく(予定)。

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