透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

消去の美学

2007-08-05 | A あれこれ



  Less is more. ドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエのこのことばは「白の建築」の美の本質を突いている。単純なものほどより多くを語る。それは「消去の美学」と表現してもいいかもしれない。消し去ることによって浮かび上がってくる本質的な美の世界。茶室、生け花・・・日本の美は「消去の美学」にその本質があるのではないか。

床の間に生けた一輪の花を際立たせるために庭の花を全て摘み取ってしまったのは確か利休。千利休を描いた映画にそんなシーンが登場したような記憶がある。

茶室、八畳から六畳、四畳半、三畳、二畳、そして一畳。消し去って消し去って最後に残ったたった一畳、究極の茶室。

床の間、その床面を消し去って壁だけを残した壁床。そこに生ける花も一輪、花の美しさが際立つ。

庭、その構成要素となる庭木を消し去って、最後に残った砂と石だけの庭。

Less is more. そこに日本の伝統的な美の本質があるような気がする。

昨晩の宴席で撮った写真。切り取っても、切り取ってもその人の雰囲気が漂う。


 


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