透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

ブックレビュー 1310

2013-11-01 | A ブックレビュー

 少年老い易く 学成り難し 今日から11月。10月は2週間後に迫った京都・奈良旅行を意識した読書をした。



『柚子の花咲く』 葉室 麟  

この小説のラスト、子どもたちが先生を慕うところは、壺井栄の『二十四の瞳』を思い起こさせる。この作家の他の時代小説同様、さわやかな印象、そしてほろりとさせられた。




『木をめぐる対話』 旧木材活用推進協議会発行 非売品 

2005年に始まった木の魅力を語るシンポジウム、そこで行われた講演全9回分をまとめた本。木に対する考え方がそれぞれ違い、木の扱い方、デザインもそれぞれ違う。ということはそれだけ木が多様性を備えているということ。この国は木の文化、京都・奈良ではこの視点からものを観察してみよう。




『仏像の顔』 清水眞澄

飛鳥、白鳳、天平、平安前期・後期、そして鎌倉 各時代の仏像の顔の特徴をとらえ、その背景にあるその時代の空気を読み解く。




『神も仏も大好きな日本人』 島田裕巳




和辻哲郎の慧眼、鋭い洞察。『古寺巡礼』はやはり名著。

法隆寺の五重塔について

**もう一つこの日の新発見は、五重塔の動的な美しさであった。(中略) 塔の好きなわたくしはこの五重塔の美しさをあらゆる方角から味わおうと試みた。中門の壇上、金堂の壇上、講堂前の石灯籠の傍、講堂の壇上、それからまた石灯籠の傍へ帰り、右へ回って、回廊との間を中門の方へ出る。さらにまた塔の軒下を頸が痛くなるほど仰向いたまま、ぐるぐる回って歩く。この漫歩の間にこの塔がいかに美しく動くかを知ったのである。**(231頁)

法隆寺ではこれをまねて、じっくり鑑賞してみよう・・・。



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