■ 朝カフェ読書で安部公房の『箱男』(新潮文庫1998年31刷)を読み終えた。この前衛的な小説については2009年にこのブログに次のように書いている。
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**『砂の女』は要するに人間が存在することとはどういうことなのか、という問いかけだったように思う。最後のページに「不在者仁木順平を失踪者とする」という家庭裁判所の審判書が載っているのが印象的だった。
『箱男』のテーマもこれとそう違いはないのではないか、と思う。箱をかぶることで自己を消し去るという、実験的行為。他者との違いは何に因るのか・・・。他者と入れ替わるということは可能なのか。自己の存在を規定(アイデンティファイ)するものは何か・・・。
表向きはエロティックな小説ではあるが、読者に問うているテーマは難しい・・・。**(過去ログ)
以前は上掲したように書いているが、今回は何だか、単なる覗き趣味のおっさんの物語じゃないか、などという感想を持ってしまった。いや、そんなはずはない・・・。やはり僕の脳ミソはかなり劣化している。