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■ 先日「ソラリス」というSF映画を観た。DVDのケースの作品紹介にSF映画の三大金字塔として「2001年宇宙の旅」と「ブレードランナー」、それから「惑星ソラリス」が挙げられていた。映画の評価はさまざまで、ベスト3の作品も定まらないが、ネット検索してみると「2001年宇宙の旅」と「ブレードランナー」は上位によく挙げられている。「惑星ソラリス」は上位にはないことが多いようだが、この作品のリメイク版が「ソラリス」だから三大金字塔として挙げた、という広告事情があるのかもしれない。
この3作品の原作が手元にある。
『2001年宇宙の旅』を書いたアーサー・C・クラークのSF小説は何作も読んだが、手元に残したのはこの作品だけ。代表作だと思うから。カバー裏面に**巨匠クラークが、該博な科学知識を総動員してひとつの思弁世界を構築する現代SFの金字塔!**と本作が紹介されている。SF小説をそれほど読んではいないが、この作品は確かに金字塔、ベスト3に入ると思う。映画も。
『ソラリスの陽のもとに』の発表は1961年、60年以上も前の作品だが、今なおSFファンは読むだろう(*1)。この作品を先日再読した。惑星ソラリスを覆う海が知的生命体だということ、それからソラリスを観測している科学者たちの記憶を検索し、それを実体化して目の前に出現させてしまうという発想がとにかく凄い。哲学的思索。この作品も私のベスト3。
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』フィリップ・K・ディック。この作品を知ったのは20代のころだった。奇妙なタイトルが印象に残った。初めて読んだのはそれからだいぶ後のことで、手元のハヤカワ文庫の奥付を見ると1977年の発行、2003年46刷となっている。
昨日(25日)の夕方この作品が原作の映画「ブレードランナー」を観た。映像表現が高く評価されている作品だ。安部公房の『第四間氷期』を読んでいる途中で観たので、両作品に描かれる未来の姿が妙に重なって、爽やかな気分とは真逆の気分で夜を過ごすことになった。『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読んでからもう20年近く経っている。再び読み始めた。
今月は新書をまだ1冊しか読んでいない。この頃、新書より小説が読みたいと思うのはなぜ?
*1 『ソラリス』(ハヤカワ文庫2015年)