このところ、少し難しい本ばかり読んでいて、読了まで時間がかかってモドカシイ思いをしているが、この小説はほぼ一日で読破できた。
著者は、「新人作家」らしいが、何よりも橘耕斎(増田甲斎)という目立たないが、極めて波乱に富んだ人生を送った人物を題材に選んだ時点でこの小説の成功は約束されたと言えるだろう。新聞広告でこの本の存在を知ったとき、思わず「やられた!」と唸ってしまいましたね。
著者は、ディアナ号の遭難やプチャーチン以下ロシア人たちが戸田の住民の協力を得て帰国する史実、さらには橘耕斎とゴシケヴィッチとの交流を縦糸に、耕斎と旧友板倉与一郎の妹との恋愛を横糸にして、幕末を舞台にした青春小説を書き上げた。本を読むのを途中で休むのが惜しいくらい物語の展開はよくできている。この本のページをめくる前に、ディアナ号の遭難やヘダ号造船のこと、そしてロシアに密航する橘耕斎のことなど、予備知識を仕入れておくと、この小説をもっと楽しめるだろう。
小説は橘耕斎がロシア船に乗って姿を消すところで終わっている。実は耕斎の人生は、ロシアに密航したのち、明治の世に帰国するまでが、面白いのである。小説の題材になりえるか分からないが、是非続編を読みたいと思わせる小説であった。
著者は、「新人作家」らしいが、何よりも橘耕斎(増田甲斎)という目立たないが、極めて波乱に富んだ人生を送った人物を題材に選んだ時点でこの小説の成功は約束されたと言えるだろう。新聞広告でこの本の存在を知ったとき、思わず「やられた!」と唸ってしまいましたね。
著者は、ディアナ号の遭難やプチャーチン以下ロシア人たちが戸田の住民の協力を得て帰国する史実、さらには橘耕斎とゴシケヴィッチとの交流を縦糸に、耕斎と旧友板倉与一郎の妹との恋愛を横糸にして、幕末を舞台にした青春小説を書き上げた。本を読むのを途中で休むのが惜しいくらい物語の展開はよくできている。この本のページをめくる前に、ディアナ号の遭難やヘダ号造船のこと、そしてロシアに密航する橘耕斎のことなど、予備知識を仕入れておくと、この小説をもっと楽しめるだろう。
小説は橘耕斎がロシア船に乗って姿を消すところで終わっている。実は耕斎の人生は、ロシアに密航したのち、明治の世に帰国するまでが、面白いのである。小説の題材になりえるか分からないが、是非続編を読みたいと思わせる小説であった。