映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ブラック&ホワイト」 リースウイザースプーン

2013-05-01 04:01:49 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)

映画「ブラック&ホワイト」は2012年公開のスパイ映画だが、どちらかというとラブコメディの色彩が強い。オスカー女優リース・ウィザースプーンが行き遅れのキャリアレディを演じ、それを取り巻く2人の恋人からモテモテの役柄だ。

まずはCIAの凄腕エージェントであるFDR(クリスパイン)とタック(トム・ハーディ)の2人がロシアの黒幕相手にその腕前を示すシーンからスタートする。
彼らはコンビを組んで成果を上げてきた。ちょっとやりすぎだとしばらく謹慎とばかりに内勤になる。時間ができた2人は軽い婚活をする。ともに恋人ができたという2人が写真を見せると何と同一人物ではないか!!ローレン(リース・ウィザースプーン)という同じ女性を好きになってしまったことで、その関係に亀裂が入る。二人は職権を濫用し、重要な任務だと偽って精鋭チームまで結成し、お互いのプライベートの様子を無人偵察機やスパイ衛星で監視・盗聴したりする。ロシア人黒幕からの復讐を交わしながら2人ともローレンをものにしようとするのだが。。。

元カレを追って引っ越して来たにもかかわらず、リース・ウィザースプーンの相手には新しいかわいいフィアンセがいる。街でばったり出くわした元カレカップルに「新しい恋人に会いに行くところだ」と見栄を張るリース。でもそのまま行きつけのすし屋に入ったら、先ほどのカップルがやってくるではないか。一人で恥ずかしい思いをする。
あえてオスカー女優リースにどじな演技をさせるのである。
モテモテの役という設定となるが、実際には行き遅れの悲しいキャリアレディだ。彼女も若くはないので、そういう役柄設定する必要がある。しかし、それだけだと映画を見に来た世の独身女性には夢を与えない。そんな行き遅れ女性をモテモテにしてしまって、もしかしたら自分にもというシンデレラ願望を与える。そこがいいところだ。
だから1億5000万$もの興行収入があるのであろう。

リースの実年齢は37歳で彼らは両方とも少し年下だ。
「30半ばになるリースが若いイケメンにここまでもてるわけないだろう。」と思う人も多いかもしれないが、自分は割と良くあるパターンかと思う。恋をめぐっての争いは、ライバルが自分の良く知っている男であればあるほどエスカレートするものだ。自分もその経験があるし、周りも同様のケースをいくつも見てきている。争う相手が美人であるかどうかの問題ではないのだ。男性が持つ対抗意識がエスカレートすると、目の前が見えなくなるのだ。
顔を見せているわけではないが、トムハーディは「ダークナイトライジング」で不死身の悪役を演じた。「バットマン」のマスクを剥いで窮地に追い込む役柄である。一方のクリスパインも「アンストッパブル」でデンゼルワシントンと競演して強い印象を残した。いずれも前途有望というべき、若手人気俳優である。そういう2人からモテモテの役を演じてリースウィザースプーンも気分は悪くなかろう。

この映画はある意味究極の職権濫用映画ともいえる。
CIAエージェントの2人が組んでコテンパンにロシアの黒幕相手を6人殺してしまった。やりすぎで復讐が必ず来るよと2人が内勤に異動になるところからスタートだ。トムハーディは婚活で知り合う。もう1人クリスパインはDVD屋で知りあい会うようになる。でも2人は丸秘の裏情報を集めるのが仕事だ。ハイテクの探知機など、諜報活動はお手の物だ。しかも、偵察機や衛星まで稼動してそれぞれの恋愛状況を知ろうとする。これがもし本当にあったら、使うお金って億単位になってもおかしくない話である。ヤバイヤバイ。でもこれが映画の世界だ。

この映画で特筆すべきは、色彩設計が巧みなインテリアデザインであろう。すばらしいセンスを見せる。特に部屋におかれている小物のセンスがいい。リースが勤めるオフィスの黄色や赤が基調のヴィヴィッドな色彩、FDRの住むプールの底を眺められる居室など。。住居系のしつらえが抜群のセンスである。映画をストーリーだけで見るものではないというのを実感させる美しい映像だ。

お気楽に見れば良いんじゃないかな。
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映画「アンナ・カレー二ナ」 キーラ・ナイトレイ

2013-04-03 19:58:18 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「アンナ・カレー二ナ」を劇場で見てきました。

言わずと知れた文豪トルストイの名作を映画化した作品だ。19世紀の貴婦人の不倫愛をトルストイらしいダイナミックな構図で描いた。ドストエフスキーは「アンナ・カレーニナ」を「文学作品として完璧なものである」と評して「現代ヨーロッパ文学のなかには比肩するものがない」とさえ言い切った。

予告編の時より、映像の華やかさに目がくらんでいた。
ジョーライト監督は「路上のソリスト」「ハンナ」いずれも好きだ。
花粉症にやられた目の調子も復活してきて、今月から映画も復活しようといざ出陣

1874年のロシアが舞台、アレクサンドル2世による帝政のころだ。
サンクト・ペテルブルクで社交界の華と謳われる美貌の持ち主アンナ・カレーニナ(キーラ・ナイトレイ)は、政府高官の夫カレーニン(ジュード・ロウ)と結婚し、息子にも恵まれ、何ひとつ不自由のない暮らしをしていた。ある日、兄夫婦が離婚の危機にあると聞き、仲を取り持つために兄家族が住むモスクワに向かう。モスクワへ向かう中、騎兵将校のヴロンスキー(アーロン・テイラー=ジョンソン)と出会ったアンナ。二人は一目見たときから恋に落ちてしまう。自制心を働かせようとするも、舞踏会で再会したときには燃えさかる情熱を止めることができなくなっていた。アンナは社交界も夫も捨てヴロンスキーとの愛に身を投じるが、それは同時に破滅へと向かうことになっていく……。

1874年といえばロシア革命まではまだ40年の月日がある。いわゆる帝政ロマノフ朝に陰りがさしているわけではない。皇帝アレクサンドル2世は農奴解放令を1861年に出しているが、その後の民衆反乱は鎮圧している。クリミア戦争こそ失敗すれども、権威が落ちているわけではない。1877年にはオスマントルコと露土戦争を戦い、地中海への南下政策を進めている。
皇帝をとり囲む貴族たちはその権力をまだ誇示している。
この映画では貴族たちが社交を楽しむ華やかな世界を美しく映像化している。
華麗なストリングス中心の音楽もすばらしい。
舞台となるセットがいくつも移りゆく、その中で立ち回る人妻アンナ・カレーニナが美しい。

まさにキーラ・ナイトレイには適役といえる。27歳というのは大人になりかけの女性の魅力を出すこともできる年頃である。不倫の恋といえば、たいてい予期せぬ懐妊が絡むものである。ここでもお決まりのように出てくる。それに対しての処置方法が現在と違うことにも注目したい。

意外にも夫役ジュード・ロウが寝とられ役のしょぼい役である。いつもの男っぷりの良さと比較すると、情けない役をいかにもらしく演じるところがいい。これはうまい。

ヴロンスキー役のアーロン・テイラー=ジョンソンは色男ぶりを発揮するが、「ノーウェア・ボーイ」のジョンレノン役とは少々驚いた。映画を見ている時にはまったくかぶらなかった。

この小説はアンナとヴロンスキーの不倫恋を描くだけでない。トルストイらしいスケールの大きい複層構造の恋物語である。農家を営むリョーヴィンと兄嫁の妹キテイの逸話が並行的に語られる。むしろそっちの方が興味深いという人もいる。でもここではちょっと弱い印象だ。何でかな?やっぱりキーラナイトレイの美しさが主題になってしまうからなのかな?アンナの魅力に取りつかれたヴロンスキーを好きなキテイがやきもきするシーンが象徴的だ。今がキーラの美の絶頂なのかもしれない。
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