この数日、日本の新聞に共産国家、キューバの革命家カストロの死に関する記事が多く出ています。
彼は1959年のキューバ革命でアメリカ合衆国の傀儡政権を倒し、キューバを共産主義国家にしたのです。そしてそれ以来、2008年までキューバの最高権力者でした。享年90歳です。
もう過去の人として忘ていた人も多いと思います。しかし日本の新聞は何故か大きな紙面を割いてカストロ氏の一生について記事を掲載しています。
キューバはアメリカのフロリダ州の沖にある小国です。サトウキビ以外に産物の無い国です。ですから日本の経済成長にとっては何のかかわりもありませんでした。経済的には無視しても良いような国です。
しかし共産主義や革命ということに関心のあった日本人の若者たちの関心と興味の対象だったのです。
特にキューバ革命の成功後、カストロの下で国立銀行総裁に就任していたチェ・ゲバラが「愛が無ければ革命ではない」と言い、再びアフリカや南米の革命軍に参加し戦死したのです。
日本の若者はこのチェ・ゲバラに心酔しゲバラの写真を飾ったものでした。
その盟友のカストロの死でチェ・ゲバラのことを思い出して感慨にふけっている日本人も多いのかも知れません。
あるいはカストロの反米思想に本心では共鳴していた日本人も多かったのかも知れません。
1990年前後のソ連の崩壊が無ければカストロは共産主義革命の巨星としてもっとソ連圏世界の称賛を浴びていたかも知れません。
私はキューバ革命やチェ・ゲバラに関する本を数多く読んでいる世代の日本人としてカストロの死に関していろいろな事を思い出しています。感慨が深いのです。
そしてアメリカに好意を持ってきた私としてはカストロ氏に対しては複雑な感情を持っています。
そんな複雑な感情を持ちながらオバマ氏とトランプ氏が発表した言葉を嚙みしめています。
オバマ大統領の追悼文の抜粋です。
・・・「前を向こう、、、この並外れた人物がもたらしたとてつもない影響の大きさは歴史が記録し、裁定を下すだろう」と述べて哀悼の意を表しました。
一方、トランプ氏は、「残虐な独裁者が世を去った、、、カストロの残したのは想像しがたい苦痛、貧困や基本的人権の否定だ」という声明を発表しました。
オバマ氏の発表文は何か奥歯にものの詰まったような言い方です。トランプ氏の声明はアメリカ人の本音を正直に言ったのです。
一方、日本の新聞ではキューバの街角でカストロ氏を悼む多くの若者たちの写真を掲載しています。
キューバでは現在でも、そして将来もカストロは偉大な英雄なのです。
私自身の気持ちではオバマさんの言い方に同感しています。トランプさんは言い過ぎなように感じるのです。
キューバ革命の本や「ゲバラ日記」を読んだ世代の皆様はどのような感慨をお持ちでしょうか?お聞かせ頂けたら嬉しく思います。
今日の挿し絵代わりの写真は甲斐駒岳の麓の山里にある池の写真です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)