庚申塔(こうしんとう)は、庚申塚(こうしんづか)ともいい、中国より伝来した道教に由来する庚申信仰に基づいて建てられた石塔のことです。
庚申講を3年18回続けた記念に建立されることが多いそうです。塚の上に石塔を建てることから庚申塚、塔の建立に際して供養を伴ったことから庚申供養塔とも呼ばれています。
その信仰の内容は奇妙なものです。不思議な迷信と考えることも出来ます。
人間の体内にいるという三尸虫(さんしちゅう)という虫が、庚申の日の夜に寝ている間に抜け出すのです。そして抜け出したその虫が天帝にその人間の悪事を報告しに行くのです。
それを避けるため、庚申の日の夜は夜通し眠らないで天帝や猿田彦や青面金剛を祀り、勤行をしたり宴会をしたりする風習があったのです。
庚申塔には、庚申の本尊の青面金剛が彫られています。そしてその足元に3匹の猿を彫ります。
申は干支で猿なので、「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿を彫り、村の名前や庚申講員の氏名を記したものが多いのです。
この中国の道教の庚申塔に対する信仰は古くから日本に広まりました。
既に10世紀ごろには盛んだったようで、庚申の夜眠らないでいる人々の様子が「枕草子」、「大鏡」などに書いてあります。
この教えが広まっていく中で仏教や庶民の信仰が加わり、江戸時代には全国の農村などで大流行しました。
身を慎むことから始まりましたが、徐々に米や野菜、お金を持ち寄り、皆で飲食や歓談をして過ごす楽しい集まりになっていきます。
また、この庚申講はさまざまな情報を交換し、農作業の知識や技術を研究する場でもありました。
この集会を3年18回続けた記念に建立したのが庚申塔です。長寿や健康のみならず、家内安全や五穀豊じょう、現世や来世のことなどを祈り、それを碑面に刻みました。
このように庚申塔信仰は人々の幸福を守る一種の宗教と理解することも出来ます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/39/649d01f223da79b64dc7ecda738b2a73.jpg)
1番目の写真は私の住んでいる小金井市の貫井南町(旧貫井村)の三叉路に立っている1794年に建てられた庚申塔です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/83/05f6722d00163807166584e48beb09e4.jpg)
2番目の写真は1794年に建てられた庚申塔の説明板です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/bb/26a4d9a25c75a379d5b1825fc3c34416.jpg)
3番目の写真は西東京市の田無にたっている庚申塔の現状です。左の石碑は馬頭観音です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/0a/fe168721405d086d136e2a325d6c2433.jpg)
4番目の写真は多摩川沿いの府中地域に江戸時代に建てられた庚申塔です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/ac/ba7020bcf1709a8061156fd745e02ab8.jpg)
5番目の写真は同じく府中地域に江戸時代に建てられた馬頭観音です。
宗教は、簡単に言ってしまえば、信ずる人を幸福にするものです。
従ってどの位幸福になれるかという問題は宗派の優劣よりも、信ずる人の主観的な考え方で決まるのです。
ですから現在でも道端の庚申塔に花を供え、周囲の人々の健康を祈り幸福を祈る人が絶えないのです。
庚申塔信仰は現在でも日本文化の底辺を支えているのです。
以上でご紹介した庚申塔に似たものにヒンズー教に起源がある馬頭観音があります。
馬頭観音は、仏教における信仰対象である菩薩の一つです。
「馬の首」はヒンドゥー教では最高神ヴィシュヌの異名でもあり、馬頭観音の成立にその影響があったのです。一般に馬頭観音は目尻を吊り上げ、怒髪天を衝き、牙を剥き出した憤怒相です。
馬頭観音はもともと衆生の無智・煩悩を排除し、諸悪を毀壊する菩薩であったのです。
しかし次第に意味が変わってきます。特に日本では近世以降は国内の流通が活発化し、馬が移動や荷運びの手段として使われることが多くなります。これに伴い馬が急死した路傍や馬捨場などに馬頭観音が多く祀られ、供養塔としていたのです。
なお、「馬頭観世音」の文字だけ彫られた石碑は、多くが愛馬への供養として祀られたものです。また、千葉県地方では馬に跨った馬頭観音像が多く見られるとも言います。
そして馬頭観音も庚申塔と同じように花を供え家内安全を祈る人々も多いのが現状です。
この馬頭観音や庚申塔と似たものに「道祖神」があります。道祖神については稿をあらてめて説明したいと思います。
日本民族の宗教は神道と仏教と言います。しかしその周辺には馬頭観音や庚申塔や道祖神があり人々を守ってくれているのです。
何故か幸せな気分になります。心が豊かになります。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
庚申講を3年18回続けた記念に建立されることが多いそうです。塚の上に石塔を建てることから庚申塚、塔の建立に際して供養を伴ったことから庚申供養塔とも呼ばれています。
その信仰の内容は奇妙なものです。不思議な迷信と考えることも出来ます。
人間の体内にいるという三尸虫(さんしちゅう)という虫が、庚申の日の夜に寝ている間に抜け出すのです。そして抜け出したその虫が天帝にその人間の悪事を報告しに行くのです。
それを避けるため、庚申の日の夜は夜通し眠らないで天帝や猿田彦や青面金剛を祀り、勤行をしたり宴会をしたりする風習があったのです。
庚申塔には、庚申の本尊の青面金剛が彫られています。そしてその足元に3匹の猿を彫ります。
申は干支で猿なので、「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿を彫り、村の名前や庚申講員の氏名を記したものが多いのです。
この中国の道教の庚申塔に対する信仰は古くから日本に広まりました。
既に10世紀ごろには盛んだったようで、庚申の夜眠らないでいる人々の様子が「枕草子」、「大鏡」などに書いてあります。
この教えが広まっていく中で仏教や庶民の信仰が加わり、江戸時代には全国の農村などで大流行しました。
身を慎むことから始まりましたが、徐々に米や野菜、お金を持ち寄り、皆で飲食や歓談をして過ごす楽しい集まりになっていきます。
また、この庚申講はさまざまな情報を交換し、農作業の知識や技術を研究する場でもありました。
この集会を3年18回続けた記念に建立したのが庚申塔です。長寿や健康のみならず、家内安全や五穀豊じょう、現世や来世のことなどを祈り、それを碑面に刻みました。
このように庚申塔信仰は人々の幸福を守る一種の宗教と理解することも出来ます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/39/649d01f223da79b64dc7ecda738b2a73.jpg)
1番目の写真は私の住んでいる小金井市の貫井南町(旧貫井村)の三叉路に立っている1794年に建てられた庚申塔です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/83/05f6722d00163807166584e48beb09e4.jpg)
2番目の写真は1794年に建てられた庚申塔の説明板です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/bb/26a4d9a25c75a379d5b1825fc3c34416.jpg)
3番目の写真は西東京市の田無にたっている庚申塔の現状です。左の石碑は馬頭観音です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/0a/fe168721405d086d136e2a325d6c2433.jpg)
4番目の写真は多摩川沿いの府中地域に江戸時代に建てられた庚申塔です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/ac/ba7020bcf1709a8061156fd745e02ab8.jpg)
5番目の写真は同じく府中地域に江戸時代に建てられた馬頭観音です。
宗教は、簡単に言ってしまえば、信ずる人を幸福にするものです。
従ってどの位幸福になれるかという問題は宗派の優劣よりも、信ずる人の主観的な考え方で決まるのです。
ですから現在でも道端の庚申塔に花を供え、周囲の人々の健康を祈り幸福を祈る人が絶えないのです。
庚申塔信仰は現在でも日本文化の底辺を支えているのです。
以上でご紹介した庚申塔に似たものにヒンズー教に起源がある馬頭観音があります。
馬頭観音は、仏教における信仰対象である菩薩の一つです。
「馬の首」はヒンドゥー教では最高神ヴィシュヌの異名でもあり、馬頭観音の成立にその影響があったのです。一般に馬頭観音は目尻を吊り上げ、怒髪天を衝き、牙を剥き出した憤怒相です。
馬頭観音はもともと衆生の無智・煩悩を排除し、諸悪を毀壊する菩薩であったのです。
しかし次第に意味が変わってきます。特に日本では近世以降は国内の流通が活発化し、馬が移動や荷運びの手段として使われることが多くなります。これに伴い馬が急死した路傍や馬捨場などに馬頭観音が多く祀られ、供養塔としていたのです。
なお、「馬頭観世音」の文字だけ彫られた石碑は、多くが愛馬への供養として祀られたものです。また、千葉県地方では馬に跨った馬頭観音像が多く見られるとも言います。
そして馬頭観音も庚申塔と同じように花を供え家内安全を祈る人々も多いのが現状です。
この馬頭観音や庚申塔と似たものに「道祖神」があります。道祖神については稿をあらてめて説明したいと思います。
日本民族の宗教は神道と仏教と言います。しかしその周辺には馬頭観音や庚申塔や道祖神があり人々を守ってくれているのです。
何故か幸せな気分になります。心が豊かになります。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)