北海道旅行で知床五湖から、ウトロへ戻る。日も傾き、薄すらと周辺が暗くなりかかり、せめて真っ暗に成る前に帰りたいと、過速度気味に国道を急ぐ。いい気になって走っていると、鹿の姿見たさに、突然ハザードランプを付けた車が止まっているので、肝を冷やす。
車中から浅い繁みに同系色の物が動き、鹿であることを発見する。警戒心持ち、餌の草を食いながらも背を向けて離れて行くのもいれば近くまで寄っても、人間様を全く無視し、ひたすら草に食らいついているものも居る。
研ぎ澄まされた立派な角、隆々とした筋肉質のボデイが、いざ戦いの戦闘能力を持つようで、「あんなのが頭を下げ突っ込んで来たらどうなるだろう」とこれ以上の近接は恐怖さえ感じた。野生の営みをこんな近接して見えることに驚き、改めて知床の現実に感動さえ覚えた。
そんな野生の鹿は鉄道運行に支障を及ぼしている、北海道全体で、エゾシカとの衝突や、衝突寸前など運行支障件数は、近年著しく増加を続けていることが報告されている。
その原因は禁猟などによるエゾシカ激増にあると見られ、根室本線は、北海道の中でもエゾシカの線路侵入が目立って多く2006年度は釧路支社管内で、452件は落合以東の根室本線で占め、1日1回は起きている。
このため、釧路運輸車両所所属車は、野生動物、特にエゾシカとの衝突事故が多発する路線事情から、「鹿笛」と呼ばれる甲高い音色のホイッスルを付けている。都会では考えられないサファリーパークのような自然の中の路線である。
知床のウトロのホテルはバイキングで、鹿のハンバークを食べた。大根おろしのたれで臭みを消すためのようであったが、多種多用の料理の前にじっくり味わうこともなく、胃袋に紛れ混んでしまった。
女満別、知床五湖
http://japan-wolf.org/content/faq/