575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

俳句の素材になるでしょうか?       鳥野

2006年05月26日 | Weblog
 長野県丸子町の郊外、別所温泉の近くの修那羅峠に、石仏の並ぶ異郷のような一画があります。すでにご存知かも。
 幕末の頃、修那羅大天武という修験者が開いた安宮神社の裏手、深い木立ちの下道に沿って点在する数多くの像。なかば朽ちたもの、土くれと見まがうもの、とにかく異様です。
 大天武に感謝した村人たちの奉納で、かっては1200余りあったものが、盗まれたりとて今は800余体。安産、左うちわ、縁結び・・・いずれも生活に密着し、人あり、動物あり、建物あり、稚拙で、土俗的で、それなりの表情がまたいい。

 歌人の斉藤史は、歌集「ひたくれない」のなかに、修那羅峠の項を設け39首を収めています。

 冬ちかき光を溜めている草生石は古りつつなほ土ならず
 蚕神 ねずみをやらう猫神とまつられたまひ直立つ猫の殿
 秋不作くるしすべなし逃れたし南無通用金神と刻みたりけり
 咳霊神 痰護明神 癪明神 ねがえる数の苦を人はもつ
 何聞きて耳とがりたるけもの神言葉吐かねば口裂けにつつ
 山かげに転び寝馴れし素朴神おちば褥を恋ひたまふらむ

   愚作も
 修那羅路の千の像(かたち)に千の願 願を持たざるわれも真向かう
 不動尊の憤怒の相を鎮めんと猫の石神四肢揃えおり   
                          
                        
コメント (4)
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