575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

片栗               草女

2008年03月21日 | Weblog
 これからカタクリの季節。反り返った花の中に6弁の桜の花の模様があり美しい。
 その魅力的な花が咲くまでには8年もかかる。種子が発芽すると高さ6~8㎝の糸状の植物体となり、2年目に小さな楕円形の葉を一枚出す。その後毎年葉が少しずつ大きくなり8年後2枚の葉を出し花をつける。花は10日間ほどでおわり実
つける。この実にはエライオソームという蟻の好む物質があり蟻によって実が運ばれていく。
 落葉樹が葉をつけ地上に日光が届かなくなった頃、カタクリの地上部は枯れてしまう。このように春のほんの短い間のみ地上に姿を現す植物をスプリング・エフェメル・プランツ(春のはかない植物)という。しかしカタクリは決してはかない花ではない。8年目に花をつけた後は毎年咲きつづけ個体の寿命は少なくても15年、長いものだと20から30年のものもある。
 片栗粉で有名な鱗茎部分はラッキョのような形をしていて毎年出来る、球根に似ているがそれでで殖えるということはない。
 このユリ科カタクリ属の多年草は秘めた力を持つ。この本物のカタクリ粉は、擦り傷、おでき、湿疹などにふりかけると効き目があるという。葉も花も食用になるので、本音を言えば食べてみたいのだが、やはり保護が優先される。
 カタクリの花を見に行くならば暖かい日がいい。気温が10℃を超えて咲き始め、15℃で半開、17℃~20度で満開になるからである。

  片栗の一つの花の花盛り       高野素十
  時流れきてかたくりの一つ花     加藤楸邨
  片栗の花むらさきを秘め通す     井沢正江
コメント (1)
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