575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

鶫            草女

2008年03月14日 | Weblog
 我が家の小さな庭にも餌に釣られて鶫(ツグミ)がたまにやって来る。ヒタキ科ツグミ亜科で中型の小鳥。秋北方から群れで渡って来て、やがて分散して人里に降りてくる。子どもの頃には渡るのをかすみ網で捕獲して食用にした。かすみ網が禁止されて久しいし、今では網の製造も禁止されている。しかし、つぐみの数は年々減っているという。
 俳句の世界では秋の季語になっているが、私たちがツグミを目にするのは冬になってからで、ことに今年は人里に来るのが遅れ二月末になってやっと姿を現した。
 いつも自然観察をしている森の仲間が憤慨しながら、こんな話をしてくれた。
 三月初旬、森林公園で釣り針にかかっているウグイスとツグミを発見。ウグイスは逃がすことが出来たが、ツグミは時すでに遅かったという。割り箸を笹薮の地面に刺しミミズを付けた釣り針に釣り糸を取り付けてあり、それにかかったという。
 仲間は怒って事務所に行ったがアルバイトなのでよく分からないと言う返事だったそうで、仲間の怒りは治まらない。
 そう言えば幼い頃近所のお兄ちゃんたちが野鳥を捕らえる仕掛けを夢中で話していたのを思い出した。戦後、食糧難の時代の話である。その中にツグミ釣りのこともあったと記憶している。
 しかし、あれから六十年もはや野鳥を捕らえて食する時代ではない。
 そんな仕掛けを作ることが出来るのは、私たちか私たちより年上の人間に違いない。多分面白半分に仕掛けたのであろう。が・・そんな人間にはそれなりの罰というものが必要であろう。次のような俳句を一万回書かせてはどうだろう。

  鶫死して翅拡ぐるに任せたり      山口誓子
  こときれし嘴に毛ふくみ鶫かな     宮野小提灯

 ツグミよ再び北に渡り繁殖し帰って来て欲しいと思う。
 どんなに美味でももはやツグミを捕らえてはならない。
 こんな切ない句を詠んではならない。
コメント (1)
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