三重県美術館で4月13日まで開かれている「液晶絵画」を見てきました。
最近の液晶技術の進歩は素晴らしい。液晶テレビは壁にかけた絵のようです。
その絵が動いている。それが液晶絵画といったら良いでしょうか。
15人の作家の作品が展示されていました。
日本画家・千住博の「水の森」は、羽田の第二ターミナルに設置された
「朝の湖畔」という絵をデジタル処理したもの。
湖面が波打ち、木々がそよぎ、小鳥が飛んでいきます。
面白かったのは、サム・テーラー=ウッドという女性の
「リトル・デス」という作品。
17世紀の静物画を思わせる構図のなかに、兎の死体と桃が置かれています。
そして、兎が腐敗していくプロセスを、時間を縮めてみせたものです。
美人が死んで白骨となっていくまでを、何枚かに分けて、
克明に描いた日本の古い絵を思い出しました。
絵は、時間を排除するというか、時間を止めて一瞬の永遠を
描こうとしてきたとも言えます。
それが液晶という技術によって時間を取り戻そうとして、
様々な試みをしているように感じました。
なかには20分もかかる作品もありますが、
それは、すでに映画やテレビが開拓してきた分野であり、
液晶絵画は、それとは違った、新しい世界を切り開いていけるのか?
展覧会では、作者の多くが「音」を余り重要とは考えていないこと。
どの作者も「コトバ」を一切拒否している点に興味をひかれました。
コトバを拒否した作品をコトバで伝えることは不可能です。
百聞は一見にしかず。一見をお勧めします。
なお、昼食は「青木屋」といううどん屋さんで。
津の市役所の南にあります。お勧めです。