575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

椿落つ    鳥野

2008年03月25日 | Weblog
歌人の青井史が急逝されて1年忌、遺歌集が届きました。まだまだこれからと、惜しまれる死でした。
70歳を過ぎて初心者というワタシめを、あきれもせずに指導してくださった先生。

その作風は厳しく、人間不信、孤独感、自己愛などをテーマにしたものが目立ちます。
心底の寂しさを、知性で克服して、弱音などは聞かせない人でした。

先生が、愛されていたのは、椿。花弁が散るのではなく、一花そのまま落ちるという潔さが先生のもの。
秀歌も数多くあります。

  ・ 運命(さだめ)などどこにもあらず自らが決めて椿の花落花する

  ・ 満開の椿の木よりいちはやく落花して一花の自己主張鋭し

  ・ 死ぬ日まで言わざることば一つもち椿は渾身の朱の色を燃す

  ・ くれないとは闇のことなり闇よりもさらに闇なす椿の森の

       ̄  ̄  ̄  ̄
    ・ 運命などあらずと告らせし師なりけり椿ひと花落ちてなお朱  鳥野
コメント (1)
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