575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

風船句会の結果です。    遅足

2008年04月17日 | Weblog
題詠「風船」

①濡れ縁に毒消し売りと紙風船(朱露)亜・立・鳥
②小さな手ゆれて風船放れけり(狗)遅
③風船やまた下の名で呼べるなら(童子)遅・狗・麗・静・亜・郁
④思索する風船ひとり青き空(郁子)朱・麗
⑤嬉々として風船回す車椅子(立雄)
⑥風船を買わなくなる日青が散る(麗子)童・晴・郁
⑦風船を引き止めてゐる梢かな(亜子)朱・狗・晴・静・郁・立
⑧ゴム風船ねじる数ごとひろがる輪(晴代)愚
⑨あくる朝大事な風船しぼみけり(能登)
⑩ワンパンチ幼子空振り紙風船(愚足)朱
⑪抽出しに折り目正しき紙風船(静荷)童・鳥・遅・狗・亜・愚・立
⑫風船をひとつ自由にして帰る(遅足)童・鳥・晴・麗・静・愚

    
自由題

①鳥曇抜き菜両手にあまるほど(晴代)遅・静・郁・愚
②掘割りの鯉のうのうと花の下(立雄)童・鳥・亜
③その不幸買いますという花の闇(静荷)童・朱・遅・狗・麗
④一本のチューリップ咲く空き屋かな(麗子)鳥・立
⑤使者として桜の中を帰りけり(遅足)狗・麗・亜・郁・愚
⑥描きかけの絵に入り日さし桜降る(郁子)晴・立
⑦ホームレス雀卓囲み花吹雪(能登)朱・静・郁・立
⑧蹲の龍居眠りて花筏(愚足)遅・狗・静
⑨春嵐つり鐘少し揺れてをり(狗)童・鳥・晴・亜
⑩身のうちに湧き立つものや花吹雪(亜子)朱・晴・麗・愚
⑪ダンロップシューズ暁天の朧月(朱露)

    

今回の句会では、麗子さんのおっしゃるとおり風船十色。
さまざまな風船が詠まれました。

懐かしい紙風船。
富山の薬屋さんが濡れ縁で家の人と世間話。
大切な情報源でもあった薬屋さん、そのお土産の紙風船。
子供にとっても眩しい町のシンボルだったのでしょう。

その懐かしい紙風船を買って孫と遊ぶ姿も。

夜店で買った大切な風船。
ふっと気を許すと、手を離れて、空へ。
大切に持ち帰った風船が、翌朝には、しぼんで部屋の隅っこに。

自由で破裂しやすい風船は、美しいはかなさから、青春の象徴にも。
風船に己のこころを託しもします。

そして風船を買わなくなる日がやってきます・・・

現代の風船も詠まれています。
風船のいのちの儚さをもてあそぶところに
大道芸人の芸が成り立っています。
風船が捻られていくたびに、見物の子供たちは半身を引いていきます。
お年寄りのリハビリのなかにも風船は姿を見せました。
手から手へ渡る風船は、人と人の心をつないでいくようです。

最高点は静荷さん。

 抽出しに折り目正しき紙風船

紙風船がひとつの時代を表現しているようでした。

   (写真は金沢美術館の作品のなかから見た空です。)



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風船十色   麗

2008年04月17日 | Weblog
昨夜は題して風船句会。

ふわふわといろんな風船が飛び交い楽しい一時でした。
なくても生活には困らない風船ですが
それぞれに思い入れや思い出がありなんだか映画「三丁目の夕日」の
ようでした。

トップ賞の静荷さんの

    抽出しに折り目正しき紙風船

曲線の風船を折り目正しく折った人は誰?
亡き人の遺品にも思い出にも思える秀句でした。

    その不幸買いますという花の闇

これまた静荷さんの自由句。そのシュールさに惹かれましたが
桜の闇とは!
まだまだ変化が続く575の会。来月の吟行も楽しみになってきました。
コメント (1)
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