二・三年前、近くの家に咲き誇る南国情緒たっぷりで明るい凌霄花・ノウゼンカズラに憧れ苗をもらって金木犀の根元に植えた。
わが庭で異常なほど巨大化し全盛期を誇っていた金木犀に恐る恐る巻きつかせて貰って細々と花を咲かせていた。
ところが、栄枯盛衰は分からぬもの、余りの巨大化で狭い庭全体を日陰にしていた金木犀は主人の我慢の限界を超えたため無残にも伐採され丸坊主となった。
喜んだのが「凌霄花・ノウゼンカズラ」我が世の夏とばかりに、もう天辺にのぼりつめ勝どきの雄たけびを上げている。
調子に乗るとお前も長くないぞ。
日盛りの風あふれゐるのうぜん花 石原舟月
とき放つ紅紐のうづ凌霄花 長谷川久々女
凌霄や午後は日の渦風の渦 古賀まり子
凌霄や雨を怺ふる近江富士 八木林之助