575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

ヌートリア 戦争の落とし子           草女

2008年07月11日 | Weblog
 6月下旬森林公園にある大道平池の水辺はハルシャギクの苗で埋め尽くされていた。北アメリカの原産の一年草で別名をジャノメギク。花が咲きそろえばそれなりに美しいだろう。開花期は夏の盛りから秋にかけてである。
 ところがこの草を観察していたら、池の中を一直線にこちらに向かって泳いでくるものがいる。ヌートリアである。私たちが居るのも平気で岸に上がりムシャムシャ草を食べ始めた。
 森林公園に繁殖している外来哺乳類で原産地は南アメリカ。「ヌートリア」はスペイン語で「カワウソの毛皮」の意味だと言う。しかし、カワウソの仲間ではなくて本当はネズミの仲間である。
 なぜ南アメリカの巨大ネズミがこの公園に住み着いているのか。
 昭和14年に日本軍により軍服の毛皮用と食用のために導入されたもので、戦時中は西日本を中心に全国に四万匹が飼育されていたという。しかし、終戦と同時に需要がなくなり、野外に遺棄されたのである。
 愛知を始め東海地方にも広く分布していて水辺に住み、堤防や畔に巣穴を掘るので防水上も危険な上、葉や野菜や稲などにも被害を与えるため駆除の対象となり1963年に狩猟獣に指定されている。
 一方ハルシャギクも園芸種として導入されたが野外化し繁殖している。
 人間の都合で運び込まれ、ある期間利用された挙句、日本固有種を絶滅させるということで、特定有害外来生物として目の敵にされる。郷に入ってようやくここまで生存してきた苦労と能力ををどう評価すべきだろう。
 日本固有種が絶滅に瀕しているのは果たして外来種だけのせいであろうか?
ここはひとつ、よーく考えよう。
 
 
コメント (2)
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