575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

ハローワーク異界が口を開けている   童子

2008年07月18日 | Weblog
句会で最高点の句。
九条バトルのブログで紹介しました。
こんなコメントがありましたので、転載します。(遅)
                  
   

私も定年退職になって、このまま隠居では心頭身に悪いと
再就職を決意したことがあります。
職業安定所・・ハローワークと改めて知った場所に身を置いてみたが、
正に「異界」の感を深くした。
半分隠居の身分が居る場所ではないと直感した。

気は進まぬが帰ってすぐに教員の人材バンクに登録した。
長年身を置いた世界の魅力には勝てなかった。
結局それも止めて不良隠居の日々を送っている。

いまだにハーワークあの窓口は「異界」への入り口の様に思えてならない。
幸せな人生に感謝しよう。(不良隠居)

   

現代の目に見えた異界とは、大都市の大スラム。
小作農などをやっていて、砂漠化とか、
大農経営プランテーションによる土地取り上げとかで、
都会に逃げ込んできた人々が作らざるをえなかった異界。
この20年、世界中で都市化が急進し、その人口も急増、
そこで最も広がった地域、異界だ。
世界の100万都市が最も典型的にこの異界を有しているわけであるが、
この100万都市が70年代には101、
それが00年には294になったという。
そして、南アジア・アフリカではその都市人口の6~7割がスラムに住み、
東アジアでも4分の1から3分の1がそうだという。
スラムの食事は1日1食の汁のぶっかけ飯だそうだ。
家族で食べ合うとのこと。(岩波ブックレット 西川潤「貧困」より)

もう一つ「心の異界」というのも大昔からあるらしい。
誰の身にもおこることとして。
例えば、こんなの。
「模範的な優等生徒がある日突然にコペルニクス的転回をはかって、
わざとのように反社会的になったり、新興宗教に飛び込んだり。
親の目からは一種の『狂気』としか見えないようだ」
「模範的な職人などが、急に仕事を放り捨てて、
貧民街などに住み着いてしまう場合」

ゴーリキーの自伝作品に、友人の職人、中年女性などが
そんな世界に落ちていったという下りを読んだことがある。
そんな中年女性の1人が、怖々と見学のように入り込んできた
ゴーリキーの質問にこう応える。
「なんで、貴方のような立派な女性がここの住人になったんですか?」
「そんなことはどうでも良いけど、ここは貴方が来る場所じゃない。
早く出てお行き!」

放浪癖って誰にもあるのだけれども。
職安をきっかけにそうなっていく場合が、現代では実に多いのではないだろうか。としたら何の職安なのか、なんの再チャレンジであるか?
それだけ不幸な時代なのだろう。

そんな読後感のある歌だ。(文科系)

   


コメント (1)
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日光黄菅          草女

2008年07月18日 | Weblog
 尾瀬と言えばニッコウキスゲかミズバショウだろうか。
 私が今年尾瀬に行ったのは7月の8日から10日。一面のニッコウキスゲには一週間ほど早かったようでチラホラだったし、ミズバショウはすっかり終わっていていて芭蕉状態。
 さてニッコウキスゲであるが、ユリ科ワスレナグサ属の多年草。ニッコウキスゲというのは日本の植物学の父牧野富太郎氏の命名で、それまではゼンテイカ(禅庭花)またはセッテイカ(節庭花)と呼ばれていた。これらの名の由来は分かっていない。その点ニッコウキスゲというのは日光で多く見られる黄色い花の咲く菅に似た葉を持つ植物ということで分かりやすい。スゲ属ではないのだがこの名で全国的に有名になった。
 東海地方では同じ仲間のノカンゾウやヤブカンゾウが丁度今頃咲いている。またこの種が外国で園芸化されてヘメロカリスの名で公園などに植えられている。
 今、尾瀬では目の前3m程のニッコウキスゲの蕾や茎に可愛いホウアカ(頬赤)という草原の小鳥が姿を見せてくれる。
 尾瀬では多く見られる鳥だが我々には珍しく、こんなに間近に見られて感激である。バッチリ写真も撮れてニンマリ。帰って野鳥写真の専門誌を見てみると、美しく咲いたニッコウキスゲの花茎に止まったホウアカがこちらを向いてニッコリ笑っていているではないか。 プロにはかなわない!!

夕かはづ日光黄菅野にともる       沢田緑生
郭公の声古びゆく黄菅かな        杉山岳陽
厩までユフスゲの黄のとびとびに     大野林火
   

★写真は、尾瀬で撮ったホウアカの姿。
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