575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

蚊帳             愚足

2008年07月14日 | Weblog
 句会のために歳時記をめくっていて「蚊帳」にたどり着いた。消え行く季語の一つに違いない。
 蚊帳には子どものころの懐かしい思い出がつまっている。田舎にある母の実家での従妹たちとの楽しいお泊り。蛍を入れて追っかけたり、枕を上に放り上げてけりあったり、ふざけすぎて何度も蚊帳を落として叱られたのも懐かしい。
 蚊帳が家から消えたのは何時の頃からだろう。
 歳時記を見ると「蚊帳」に続いて「紙帳(しちょう)」というのが載っている。 江戸時代に蚊帳のような贅沢なものが釣れない庶民が愛用した紙製の蚊帳で、ところどころに紗を貼って風を入れたという。かなり暑苦しいものだったらしい。
    ちりの身とともにふわふわ紙帳かな     一茶
    月さすや紙の蚊帳でもおれが家       同
 扇風機で我慢するフリーターに似ているような。

 口直しに風情ある蚊帳の句を

    蚊帳くぐるや簪ぬきて髪さびし      長谷川かな女
    つりそめて水草の香の蚊帳かな      飯田蛇笏
    蚊帳へくる故郷の町の薄あかり      中村草田男
    川風や燈火消えて蚊屋の月        幸田露伴
 
コメント (1)
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