575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

枇杷の思いで          愚足

2010年06月21日 | Weblog
この季節になると「びわ」が懐かしくなる。
 終戦後の何もない時期に家の裏隣りの朽ちた木塀の上に枇杷の木が垂れ下がり、日に日に黄色みを増した実が大きくなる。
 竹の棒でたたき落とした其の実は甘く何もないその頃の子供にとっては夢のおやつであった。竹の棒の先を二股にして枇杷の枝を千切りやすくした。
 しかし、友達も来てしばしばとったのでこちら側のはすぐになくなり、もう少し向こうのが侵略の目標になった。
 こうなるると子どもたちは見境がなくなり、木の塀によじ登る。
 塀はぎしぎしと傾き始める。あわてて飛び降り逃げだした。
 夕方しこたま親爺に叱られた。

 枇杷の味は仄かで懐かしい。

   少年の盗みしびわの仄の甘き      ぐ
   木の上にひとり枇杷くふ童かな     正岡子規
   枇杷をを食ふ腕あらはに病婦かな    皆吉爽雨
コメント
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