575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

梅咲きそろう句会    麗

2018年02月22日 | Weblog
金子兜太さんの訃報で始まった昨日の「梅句会」。
兜太さんの

    梅咲いて庭中に青鮫が来ている

という凶暴な幻とも言える俳句を鑑賞してからの選句となりました。
575の会では温かい気持ちになる梅に票が集まりました。

それでは一言講評です。



題詠「梅」
①父母愛でしままに薫るや里の梅

亡き父母の愛した梅。いつまでも変わらないふるさとの梅の姿がそこにはありました。「薫る」という言葉も活きています。

②園児らの朝のあいさつ梅ひらく

園児らの元気な朝の挨拶に梅も開いた、その瞬間を詠まれました。

③しらうめのまろき蕾のまろきまま

リフレインの効いた一句。「まろきまま」というひらがなもまるいですね。

④三浦越え梅のにおいの風に乗り

三浦半島の梅林を詠まれたのでしょう。景の大きなさわやかな句です。

⑤今日咲くと選びたる梅真白なり

朝の一時、生け花にする今にも咲きそうな白梅を選びました。汚れのない清らかな一句。

⑥梅蕾紅き拳を握りしめ

蕾が固く閉じている様子を詠もうとしましたが、「梅蕾」に再考の余地あり。「臘梅や」などとしては?というアドバイスをいただきました。

⑦寒肥やしいつの返しか梅つぼみ

冬の間ちゃんと梅の木に肥やしを与えておられる作者。いつ咲いてくれるのでしょう?油かすでは咲かない?やはり鶏ふんなどがいいようです。

⑧梅咲いて空透けてゆく山のきわ

「山のきわ」をより身近な都会の景にした方がよりよいとのアドバイスあり。「空透けてゆく」は美しいですね。

⑨梅の花巡る子蜂や光源氏

小さな蜂が梅の周りに飛んでいます。それを光源氏のように美しいものに吸い寄せられると詠みました。源氏物語の「梅壺」の女御を思い出しました。

⑩梅一輪一坪の庭清めおり

一輪と一坪の対句。きれいに韻を踏んでいます。梅の清らかさを見事に表現されました。

⑪梅匂うこっそり置いた未練かな

古今和歌集のような和歌の趣きのある一句。梅の匂いと未練が引き合います。

⑫遠来の客のもてなし梅香る

こちらは漢詩の趣きのある一句。梅を生けて遠来のお客さまをおもてなしする作者の心遣いが現れています。


⑬白梅のつぼみは紅を隠しをり

白梅も蕾の時は少し紅色をしているそうです。紅梅かと思いきや咲くと白梅です。観察の一句。


⑭ポッケで鳴る鈴ほどの「ぽっ」梅の花

実際には聞こえない「ぽっ」という梅の開く音を、ポケットの中で鳴る鈴の音の音に転換して表現した最高句。お見事!!

いかがでしたでしょうか?
庭に青鮫は現れませんでしたが、繊細な俳句の世界を味わうことが出来ました。
まだまだ寒くてなかなか紅梅までは咲いていませんが、春はもうそこまで来ていますね。
来月は第4週の水曜日。桜も開花しているかも?「さえずり」がお題です。またにぎやかにさえずりましょう。
コメント
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