575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

ほおずき句会   麗

2019年08月22日 | Weblog

お盆も終わりましたが、まだまだ暑い名古屋。それでも皆様お元気に句会に参加出来ました。
今月のお題は「鬼灯」。この漢字は似合わないとあえて「酸漿」という漢字を選んだ方や、ひらがなの方がしっくり来るという方も。
等さんが英語ではほおずきを「a Chinese lantern plant」と言うと教えて下さり、中国から来た植物で「lantern」
つまり灯りという字に納得しました。
お盆やお墓参りに欠かせないほおずき。口に含んで鳴らす「ほおずき笛」はやはり女性陣の思い出の中に多くありました。
それでは一言講評です。


題詠「鬼灯」

①鬼灯を鳴らす昭和の三姉妹

昭和一桁の母は三姉妹。幼き日、三人でほおずき笛を作っていた昭和の1シーンを詠みました。ほおずき三つが仲良く並んでいる姿も思い浮かべて作りました。

②艶姿<あですがた>ほおずき市の売り口上

江戸情緒あふれる一句。浅草寺のほおずき市。一度行ってみたいものです。ちなみにほおずき市は夏の季語だそうです。

③夕地蔵鬼灯一つ足元に

見事トップ賞に輝いた映像がはっきり見える一句。赤みを帯びた夕地蔵とその足元に置かれた一つの鬼灯。日泰寺の裏で目にした実景だそうです。

④一本の赤鬼灯や招き猫

鬼灯は赤いので赤はもったいないという声がありました。招き猫から東京の豪徳寺の景かと思いましたが、作者の言葉。「お兄さんの新盆だという友人を訪ねた時の様子。玄関に鮮やかな色の鬼灯が一本だけ飾ってあったのですが、亡くなった人も生きてる人も招き寄せる感じがしたので、招き猫として詠んだそうです。」


⑤鬼灯や「泣いた赤鬼」読み語り

お盆にお孫さんに読み聞かせた「泣いた赤鬼」鬼灯の赤色と鬼という字が合わせ技ですが、作者の思いがやや伝わらず。

⑥鬼灯が故郷の道赤しるべ

道しるべを敢えて赤しるべとされたようです。点々と赤い道が出来ているようです。

⑦ほおずきの淡き記憶や笛の音

「淡き」にもう一工夫という声がありました。「笛の音」は「笛のね」と読みたいところ。そうすると字足らずに。。。

⑧鬼灯に死者と生者の集いける

④と同じことを詠んでいるのですが、こちらの方がストレートに胸に落ちました。納得の一句。

⑨消えし浜海ほおずきを吹きし日よ

「ほおずき」という題で「海ほうずき」を詠んでいいものか?という疑問を投げかけた方も。私は海ほおずきを見たことも吹いたこともないのですが、美しかった浜が消えてしまったことを作者は嘆いておられました。

⑩鬼灯を母の少女が鳴らしけり

中七の「母の少女」が秀逸。皆の心をわしづかみ!

⑪墓並ぶ乾く鬼灯実を揺らす

ちょっと怖い一句。動詞が三つは多いので「乾く」を何か違う言葉にしては?

⑫鬼灯の案内(アナイ)で辿る墓参かな

お墓にほおずきはつきものですね。死者が案内しているととった方も。

⑬酸漿やただ鳴らしゐて人恋し

ちょっと淋しい手持ち無沙汰の一時。誰かを恋しく思い、酸漿をただ鳴らしています。旧仮名遣いの「ゐて」がいいですね。

⑭ほおづきやはじめて母につきし嘘

ほおずきと嘘。見事な二句一章です。後ろめたいかすかな心の痛みと赤が似合います。これを「妻につきし嘘」にするとどんな花が似合うかで盛り上がりました。「チューリップはじめて妻につきし嘘」(笑)

⑮ほほづきの白花ひとつ也有園

東山植物園の中にある也有園。尾張藩士横井也有を知らないと採れない一句。俳人でもありました。ほおずきの花は白いのですね。


⑯淋しさに酸漿鳴らせし幼なの日

子供の頃の思い出を詠まれました。なんとなく淋しい時、酸漿を鳴らしてみました。あの音が一段と淋しさを。

⑰ほほづきの含む子どもの片笑くぼ

ほおずきを鳴らせない少年。ほおずきを鳴らしていた少女のほっぺに片えくぼがありました。初恋の少女?

いかがでしたでしょうか?ある俳句の本に「過去は詠まないこと」とありましたが、どうしても年齢とともに過去の思い出に引きずられるし、それで共感を得られればいいのでは?と私は思います。
懐かしい音や人の会話が聞こえて来た「ほおずき」句会でした。

次回は9月18日(水)午後1時20分 愛知芸文センター会議室D
題詠は「風の色」「秋風」です。
少しは秋風も気持ちいい頃でしょうか?どんな風が吹くでしょうか?

コメント
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