知人の広島出身者で、夾竹桃が大嫌いという人がいました。
原爆投下の直後、被爆地には夾竹桃が赤赤と咲いたそうです、と結宇さん。
丸木位里・俊夫妻は8月6日の原爆投下の直後、位里の実家のあった広島へ。
その惨状を目撃して制作した『原爆の図』は有名です。
同じころに依頼を受け制作したのがこの絵本。
広島市郊外に住む「おばあさん」(モデルは位里の母)とその家族、
近所の人々の被爆体験を描いたもので、ごく短い詞書きが添えられています。
無人の焼け野原の絵に添えられた詞書は
「爆心地の話をつたえてくれる人は、いません」。
「「オイツ」と肩をたたいたら、ざらざらと戦友はくづれおちました」という
「灰の人」のエピソード。
作者によれば、丸木位里夫妻が最初に書いたのは1950年で、その時は発刊禁止に。
1975年に英訳付きで、ロバのみみ社から、1998年にはスペイン語訳もつけて
出版されたとそうです。
忘れてはならない記憶です。夾竹桃の強い生命力。それに負けないように。(遅足)