575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

梅一輪 いちりんほどの 暖かさ <嵐雪>

2020年08月15日 | Weblog


服部嵐雪<はっとりらんせつ> 江戸時代前期、
松尾芭蕉の高弟で「雪門」の祖。通称は孫之
丞、彦兵など。俳号は「雪中庵」が有名。柔
和で温かみのある作風が特徴といれています。

服部家は淡路の出身で常陸麻生藩にも仕えた
ことがある武家の階級。嵐雪は江戸湯島に長
男として生まれたといわれています。成人と
なった嵐雪。しばらく常陸笠間藩に出仕して
いました。しかし、嵐雪は遊蕩三昧の日々。
廓から朝帰りする不良青年のため解雇。俳諧
師へと転職します。

松尾芭蕉に入門したのは21歳の時。研鑽を積
み「草庵に桜桃あり 門人に其角と嵐雪あり」
と芭蕉の弟子としての地位を確立。同門の宝
井其角の「田舎之句合」の序文を執筆し自ら
も「若水」を刊行。名実ともに俳諧の宗匠と
なります。ところが「露払」の編纂の頃から
芭蕉と意見が合わなくなり、芭蕉の奥州への
旅の送別会にも出席していません。

元禄7年10月に芭蕉は没します。訃報を聞い
たその日。急遽、嵐雪は一門を集め追悼の会
を催します。そして、芭蕉の眠る膳所の義仲
寺へと急ぎ旅立ちます。師弟とはいえ江戸俳
諧で屈指の二人。さまざまな確執もあったと
思われます。しかし、芭蕉の鬼籍入りにより
わだかまりが一挙に氷解した感があります。

服部嵐雪。享年54歳。東池袋にほど近い雑司
が谷の本教寺に眠ります。辞世の句。

一葉散る 咄ひとはちる 風の上 <嵐雪>

写真と文 <殿>



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