575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

山肌に 梟のこげ 透きとほる <一茶くん>

2020年08月02日 | Weblog


前回、ご紹介した連歌。複数で詠み繋げていく連歌の中に
滑稽な句を織り交ぜる余興の部分があります。これを俳諧
といい、この俳諧を分離して成立させたのが松尾芭蕉です。

明治となり、政岡子規は俳諧に新しい風を吹きこみます。
明治は造語の時代。外国語に翻訳してもわかる造語で俳句
を詠んだという逸話もあり、もしかすると英国に留学した
友人の夏目漱石に相談したかもしれません。ちなみに、子
規は野球好き。そのため、現在使われている野球の用語も
子規の造語です。

写生を俳句の美とした正岡子規。彼の没後、俳句の流れは
高浜虚子と河東碧梧桐のふたつにわかれます。虚子は「ホ
トトギス」を主宰。伝統的な季語や定型を守ります。碧梧
桐は精緻な写実から生まれる詩情を目指します。

客を待つ 夏座布団の 小ささが <虚子>

撫子や 海の夜明けの 草の原 <碧梧桐>

ホトトギスは保守的な作風。水原秋桜子はさらに主観的な
叙情を目指し「馬酔木」<あせび>を創刊。こうした新興的
な俳句から心象風景へ傾倒した、石田波郷らのグループが
生まれます。ところで、中村汀女や星野立子などの女性俳
人。いまの夏井氏の先駆けといえるでしょう。

瀧落ちて 群青世界 とどろけり <秋桜子>

雀らも 海かけて飛べ 吹き流し <波郷>

単衣着て 風よろこべば 風まとふ <汀女>

重き雨 どうどう降れり 夏柳 <立子>

「古池や 蛙飛びこむ 水の音」切れ字の好例とされる句。
上五の「古池や」の後に訪れる一呼吸の休みで、読み手
は作者の置かれている季節や周囲の状況を瞬時に想像し
ます。まさに俳句の醍醐味といってよいでしょう。最後
に「一茶くん」が詠んだ句をご紹介。実はタイトルは彼
の句。彼はAIで12万の俳句を深層学習済み。

この場をお借りして会員先輩諸氏に「暑中お見舞申し上
げます」


写真と文<殿>








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