575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

車椅子になりて一年虫すだく  佐保子

2021年10月08日 | Weblog

 虫すだくの「すだく」を漢字にすると<集く>  虫が多く集まることで、虫が鳴く意となると誤用だとありました。
私は、虫が一斉に鳴いてあたりに響きわたることと思いこんでいましたが違っていました。
  「音」が降り注ぐようであるなら 虫時雨
  虫が鳴くだけで真っ暗な闇夜であれば 虫の闇
  秋の深まるなかでなお生き残っている虫は 残る虫
  虫の声をしたって郊外を歩くことを 虫聞き・・
 虫の音、風の音にもののあはれを知る日本人ならではの繊細さを感じます。

 等さん: 冬を前に虫などが集まって騒ぐ頃になりました。車椅子の生活になって1年、時のたつのはしみじみ早いものです
 結宇さん:一年は早いような感じもあるけど、なかなかそう簡単には表現出来ないでしょう・・・
 千香子さん:過ぎた1年は早いですね。これからも頑張ってください。
 亜子さん:◎の句。車椅子の生活になるのは衝撃的なこと。その生活が一年になるという感慨と「虫すだく」という季語の取り合わせがよい。
  一途に虫の声を聞いていると心が清らかになり、全てを受け入れていくという静かな心境になるのかも知れません。

素敵な選句コメントをありがとうございます。
もう一句

  十月は 開くと青い音がする  遅足

 麗子さん:「青い音」それは雲一つない青空の音でしょうか?
  乾燥した空気に何もかも響き渡ります。他の月ではない「十月」しか感じられない音でしょう。参りました。
 殿さま:色彩学で青は寒色です。作者が開いたのは秋の冷たさでしょうか。自由律にも感じる口語調。しかし、他の句の追随を許さない佳句といった感。
 紅さん:不思議な魅力を持った句だと思いました。

  
遅足さんの頭の中には、真っ青に澄み渡った空が広がっているのでしょうね。郁子

コメント (3)
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