575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

草紅葉昨日と同じ子と出会う  NHK俳句より

2005年11月19日 | Weblog
今日、放送のNHK俳句の入選句です。
ゲスト出演していた辰巳琢郎さんが
「気になる句」と言っていました。

草紅葉は、秋に草が紅葉すること。

 たのしさや草の錦という言葉  星野立子

草紅葉を楽しみに出かけたのかも知れませんが、
句から受ける印象は、必ずしも陽性ではありません。
老いを意識した年齢。昨日と同じ一日がやってくる。
一方、子供は毎日が新鮮。
同じ一日といっても、意味するところは違います。

大きな時間は同じように流れていても、
年齢によって時間の流れる方向が違う。
そんな人間同士が草紅葉のなかですれ違う。
選者の宇多喜代子さんも言っていましたが、
子供のほうは同じ人とすれ違ったことなど
覚えていないでしょうね。

それにしても作者の名前を覚えていないとは

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

皇室の婚姻下田冬の波   朱露

2005年11月18日 | Weblog
朱露さんの最近作です。

友人達との伊豆ドライブの途中、下田へさしかかった時の
カーラジオの結婚式放送を聞きながらです。
『婚姻下田』の中七がひどいですねえ。  
しかも『皇室の婚姻』と『下田冬の波』が。
いかにも伊豆ドライブの途中聞きました、というわざとらしさ。
(でもホントのことです)

本人のコメントです。



婚姻下田 こんいんしもだ 
という、音のつながりに作者も意識していない
微妙なニュアンスを感じてしまいました。

               遅足


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

残照に木肌あたたむ冬の山    愚足

2005年11月17日 | Weblog
中京大の俳句講座での句です。
先生から中七についてコメントがありました。

光があたると温まるという知識をもとにした表現では?
光が木にあたっている感じを言葉にしたら
もっと個性的な印象の強い句になるのでは?

写生が大切ということでしょうか?と質問。

答えは、知識でみるのではなく、という意味で、写生は大切。
知識として知っていることを書くと、体験が共有できません。
具体的に、見たように感じられる言葉を
探し当てることですとのこと。


私は中七は悪くないと思っていました。
俳句ってなかなか難しいですね。     遅足

   愚足さん









コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

翻訳の翻訳             愚足

2005年11月17日 | Weblog
 嵯峨の君を歌に仮せなの朝のすさびすねし鏡のわが夏姿    与謝野 晶子

 二人きりの嵯峨のつもりが君は歌会すねた私を鏡に映す     俵 万智

 きみ嵯峨野鏡に映す洗い髪                      愚足
 

 海棠にえうなくときし紅すてて夕雨みやる瞳よたゆき 
    
 口紅もやめてしまおう海棠に降る夕雨を鬱々と見る

 紅すてて雨海棠に鬱々と

                         
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

共感覚

2005年11月16日 | Weblog
イギリスBBCの番組が「共感覚」について紹介していました。
異なった感覚の間に連動性のあることを言うらしいです。
ある人は、特定の文字と特定の色が連動し、
道路標識なども、青や赤、黄色とさまざまな色に見えるそうです。
また、言葉と嗅覚が一緒に働く人もいました。
ある言葉はソーセージの味、別の言葉はアイスクリームの味がするそうです。
オシメの湿った味を呼び起こす名前もあるとか。

      

この共感覚は言葉の誕生に関係があるのでは?といいます。
そういえば比喩は、異なった感覚の間にある共通性を
捉えることによって生れます。
シェークスピアの台詞は比喩の宝庫だそうです。

石のような顔    

                    遅足








コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

母が出は宇陀川上や秋さくら   山本洋子

2005年11月15日 | Weblog
山本洋子句集を読んでいて出会った句です。
良い句だなと思って、あとがきを読んだら

秋晴れの吟行会で、同行のO氏が
「僕の母の出はこの宇陀の奥なんだ」と、
笑って言った言葉をそのまま句にしたもの。
句会での、この句への共感者は多かった。
宇陀という土地のもつ母性への共感で
あったのでは、と思う。

と、あった。秋さくらはコスモス。
いろいろな花を下五に置くことが出来ると思いますが、
秋さくら、ひらがなの「さくら」は、良いですね。
                
              遅足





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

長良川微風少水草紅葉   長良

2005年11月15日 | Weblog
 晩秋の長良河畔をそのままに…漢字ばかりで、感じ悪いかな。

 万博と連動するかのように、今年の鵜飼は賑わいました。それも閉幕して一ヶ月、鵜もひと休みというとこでしょうか。いや、プロ野球並みに来期に備え、キャンプインかも?

 紅く映えていた川原の草紅葉も今は茶色にかわり、来年の準備に入っているのでしょうか。この辺りは落ち着いた静かな佇まいです。

 街ではそろそろジングルベルが鳴り、忘年会、新年会と喧しいことに…。

    恵まれて小春日和の散歩かな

                    

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「晩秋の夕三日月に沿う金の星」を直す  長良

2005年11月14日 | Weblog
  晩秋の夕三日月に沿う金の星

K氏曰く、この句?は欲張りだ。”夕”は変だ。下五のキンノホシでは苦しい。
との指摘あり。では。
  晩秋の三日月に沿う金星や これでは? 
少し良くなったが、晩秋と”月”は季重ね。なるべく避けたほうが良い。
そして、シンプルかつ深く…?
ならばとK氏、再び直して…。 これでどうじゃ!

  三日月にいま明星が寄り添いぬ  なるほどねー

11月の始めの長良川右岸からの夕景、左手に近き金華山、右に振れば清流川面の揺らめき、さらに右遠方には伊吹山につなる山波の切り繪のようなシルエット、天空には月と金星のデュエットの輝き。この無機質的?光景に、人の息吹を与えるかのような”いま~添う”のフレーズは流石K氏である。

 私はこの”いま”が実によく効いていると思います。

             



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

敗戦や平和のあかし大花火  長良

2005年11月13日 | Weblog
これは私が8月の句会に出しまた。

長良川の花火大会(全国最大級)は敗戦の混乱の中から始まり、欠かすことなく行われ60回を迎えました。
今年は特に懐かしのメロディーをも聞かせ,それに合わせた超ワイドな打ち上げや水中花火などを織り交ぜ、実に気迫の篭った希望と平和の大祭典でした。

句友の中に2人の関係者(元岐阜日日新聞社)があり、当時は3ヶ月前からエキサエイト状態で準備に専念した苦労話や達成感、喜びなどを伺いました。

句の良し悪しが一番重要でしょうが、句に纏わるお話も同じくらい大切だと思いました。

芭蕉の句を借ります。 「おもしろうてやがて悲しき花火かな」

花火を凝縮したような石蕗の花が小春の陽射しをうけ誇らしげに輝いています。

                                    
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

挙句  霞の中の女系一族  遅足

2005年11月12日 | Weblog
連句「美濃の風」もついに挙句に。
挙句の果てという言葉は、ここから来たとか。

天皇家にはひとつの転機が訪れているようです。
後継者のことで、有識者が諮問に答えたり、
ある皇族が私見を発表したり。
天皇は日本国の象徴とすれば、国民の問題でもありそうです。

    


  連句「美濃の風」

稲孫田の悠々として美濃の風    長
百一百二もう眠いです         久
水底に夢の国あり後の月       遅
サービスとなる宇宙遊泳        長
神の舟サンタの橇もひと跳びに   久
氷柱の中の小さき溜息        遅

虹色に光りしものの危うきに     長
ひと十色の世聖(ひじり)はいずこ   久
一杯のお酒があればすべてよし   遅
したごころからまごころとなり     長
早鐘の鼓動抑えて行き過ぎぬ     久
昨日までとは違う空あり        遅
夏の夜の月の静けさ降りて来て    長
人に頼りし虱なつかし         長
アマゾンの水干上がっている地球  遅
げに怖ろしき増税の声         久
静々と靖国の花散りにけり      久
霞のなかの女系一族          遅

長良さん、久々さん、読んで下さった皆さん。
ありがとうございます。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「青女」なんて素敵な季語       愚足

2005年11月11日 | Weblog
 歳時記をみていたら「霜」の項に「青女」とありました。
 中国の漢時代の詩から由来するそうですが、雪・霜を降らせる女神の事で転じて霜を表す季語となったようです。
 詩によると、青女は寒夜、空閨の女のうつ砧の上に霜を置き、深山の隠士の鬢に霜を降らせるとの事。切なくも生を感じさせます。 そこで剽窃句を一つ。

    目の見えぬ夢見て泣きし青女かな

    目の見えぬ夢見て泣けり霜の中      照 敏

                             
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花  静々と靖国の花散りにけり  久々

2005年11月11日 | Weblog
小泉さんの参拝で国際問題にまで発展した靖国神社。
A級戦犯の東條さんらを合祀した時点で
仕掛けられた時限爆弾を破裂させたのは誰?

多くの戦死した人々の魂は、今年も桜になって咲く。
花は、静かに咲き、静かに散りたいと願っているのでは。
そんな気持ちの付けでしょうか。
鎮魂ということを考えさせられました。(遅足)

さて、いよいよ挙句です。


  



コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雑  アマゾンの水干上がっている地球  遅足

2005年11月10日 | Weblog
人に頼りし虱なつかし  長良

今の地球はどうなっているのでしょうか?
温暖化なのでしょうか?
人は虱と共生していた方がよかったのか?
悠久の黄河も下流で干上がっているとか。
今年はついにアマゾンの水がなくなったといいます。

       

アマゾンの水干上がっている地球  遅足
げにおそろしき増税の声        久々

いやいや、もっと恐ろしいものがあるよと、
久々さんの付け。
げにや増税ほど恐ろしきものはないと
思っていましたが、某世論調査によれば、
半分は仕方なしとの回答とか。

         

連句もいよいよ大詰め。
次は花、そして挙句です。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏の月  夏の夜の月の静けさ降りて来て  長良

2005年11月09日 | Weblog
恋が終り、夏が2句続きます。
まず夏の月。
この付けでは、前の恋を失恋と読んだようですね。

   
        

さらに長良さんが続けます。

月 夏の夜の月の静けさ降りて来て  長良
夏 人に頼りし虱なつかし        長良

おかしみのある巧い付けですね。
人肌の恋しさ。
虱は夏の季語だそうです。

次は雑が2句です。(遅足)


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

恋  早鐘の鼓動抑えて行過ぎぬ   久々

2005年11月08日 | Weblog
恋      早鐘の鼓動抑えて行過ぎぬ   久々
恋の余情 昨日までとは違う空あり     遅足

と続きます。

          

恋は成就したのか?あるいは?

これまでの流れ

稲孫田の悠々として美濃の風   長良
百一百二もう眠いです        久々   
水底に夢の国あり後の月      遅足
サービスとなる宇宙遊泳       長良
神の舟サンタの橇もひと跳びに   久々
氷柱のなかの小さき溜息      遅足
虹色に光りしものの危うきに    長良
ひと十色の世聖はいずこ      久々
一杯のお酒があればすべてよし  遅足
したごころからまごこごとなり    長良
早鐘の鼓動抑えて行過ぎぬ    久々
昨日までとは違う空あり       遅足

この後は夏の月です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする