575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

輪っくぐりましたか          鳥野

2010年06月22日 | Weblog
吾が住むところは、町名のとおり、名古屋城の真西の城下。
改正以前は、樋之口、鷹匠などと、ひと目で由来や住人の仕事までが瞭然でした。

そんな古い町の一角に、”宗像さん”と呼ばれる神社が鎮座し、親しまれています。

年中に恒例の神事もいろいろ行われているようですが、近郷近在に知れわたっているのは、夏祭り。
愛称、弁天通りの500メートル程の両側に露店が並び、比較的広い歩道が人で埋まります。
名物は浴衣姿とお巡りさんの交通整理の笛。

集まった人たちのお目当ては、ご利益あらたかと評判の「茅の輪くぐり」。
新年から半年間の罪と穢れを祓い、行く手の無事を祈る「夏越の祓え」です。
神社の境内に拵えた茅草の輪に、左足から踏み込んで8の字にくぐるのがしきたり。
これを済ませば、年末の大祓えまでの安楽は確約されます。

今どきの若き等が、神妙に行列待ちをして、輪をくぐっていくのが微笑ましい。

  ・ 腰パンも目を伏せ茅の輪くぐりおり夏越の祓え夕光のなか

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枇杷の思いで          愚足

2010年06月21日 | Weblog
この季節になると「びわ」が懐かしくなる。
 終戦後の何もない時期に家の裏隣りの朽ちた木塀の上に枇杷の木が垂れ下がり、日に日に黄色みを増した実が大きくなる。
 竹の棒でたたき落とした其の実は甘く何もないその頃の子供にとっては夢のおやつであった。竹の棒の先を二股にして枇杷の枝を千切りやすくした。
 しかし、友達も来てしばしばとったのでこちら側のはすぐになくなり、もう少し向こうのが侵略の目標になった。
 こうなるると子どもたちは見境がなくなり、木の塀によじ登る。
 塀はぎしぎしと傾き始める。あわてて飛び降り逃げだした。
 夕方しこたま親爺に叱られた。

 枇杷の味は仄かで懐かしい。

   少年の盗みしびわの仄の甘き      ぐ
   木の上にひとり枇杷くふ童かな     正岡子規
   枇杷をを食ふ腕あらはに病婦かな    皆吉爽雨
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午前から午後の背中へリラの風   遅足

2010年06月20日 | Weblog
船団の中谷ドクターの診断です。

「午前から午後の背中へ」というくだりは
やや抽象的ですが、惹かれるフレーズ。
午後の背中というのは午前と比べて
徐々に疲れが滲んでくるのではないかと思います。
そんなところにリラの風。
感覚の心地よさに惹かれました。

   (ありがとうございます)

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短夜や浜名湖の波静まらず    朱露

2010年06月20日 | Weblog

      海育ちの為ボート転覆の姿が浮かぶ。
      曳航されるボートが不安定に揺れる。
      私も同じ目に会っているので分かる。
      今朝も浜名湖と真鶴を往復していた。
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句会こぼれ話    遅足

2010年06月19日 | Weblog
自殺する蚯蚓の背中変色す

朱露さんの句に蚯蚓の自殺が取り上げられていました。
雨上がりのコンクリートの上に蚯蚓が現れて、
間もなく日が差して死んでしまう。
まるで自殺。

狗子さんの解説によれば、
雨が降ると、土の中の水分が増え、
蚯蚓は、身体に悪影響が出るために地上に避難。
しかしコンクリートの上に逃げた蚯蚓は土に帰れない。
そのまま死んでしまうとのこと。

では、悪いのは人間ということに・・・

   

麦の秋インカの目覚めの甘きこと  愚足

黄金伝説のインカ、あっけなく滅んでしまいました。
そのインカが目覚める・・・
麦の秋、という季語との取り合わせも見事!
しかし甘きこと、って?と、思っていました。

作者の「よれば、インカの目覚め、とは
ジャガイモの品種とは!

ウーン・・・

でも誤読のほうが面白い。破壊的=創造的誤読。
誤読に答えて作って下さい。

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北窓の朝霧の中赤岩寺     朱露

2010年06月19日 | Weblog

   昨日浜名湖で女子中学生が水死。
   二十人投げ出されたという強風。
   豊橋の子供たちなので心底参る。
   水の怖さを知らない大人たちよ。

  (真鶴の荒磯育ちなので、非常に腹が立ちます。)

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ブタナ 草女

2010年06月18日 | Weblog
 新潟の弥彦さんから富山に向かうのに、国道8号線を走った。反対側の通行量はか
なり多いうえ、3台に2台はトラックである。北陸道の通行量が少ない原因の一つに
違いない。カーブが多いとはいえ、信号は少なく走りやすい。よほど急ぎの便でなけれ
ば高速料金を払うことはない。この道路の両側にブタナびっしり生えきれいである。

 私「ブタナ街道といってもいいわね。」

 夫「なんだそのネーミング?」

 ブタナはキク科エゾコウゾリナ属の多年草でヨーロッパ原産の帰化植物。昭和初期
に渡来したと考えられている。北海道に多く見られていたが今では、本州にも群生し
ている。別名をタンポポモドキというくらい似ているが、ちょうどタンポポの開花が
終わるころから9月ごろまで咲く。タンポポより茎が細長く(30~60cm)花の一回
り小さい。1本の花茎が途中で数本に枝分かれして花を付けるから、群生していれば
かなり美しい。が、この草が群生すると、他の草が生きていけない。

 それにしても、ブタナとはひどい名前である。フランスの俗名 Salde de pore
(ブタのサラダ)の翻訳だそうだ。それにしてもう少し花にふさわしい名前を付ける
ことができたと思う。原産地ではハーブとして食されるそうだが、ブタナでは口にす
る勇気が湧いてこない。

 

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冷奴嫌われもせず好かれもせず    朱露

2010年06月18日 | Weblog


    豆腐を冷水で冷やし醤油と薬味でと       
    「広辞苑」に一行だけ書いてある。
    あってもなくてもどうでもいいか、
    そういうものに私は、と賢治風に。

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青時雨句会    麗

2010年06月17日 | Weblog
昨夜の青時雨句会。

今月もまたまた遅足さんの隠し球にやられてしまいました。

    「青時雨登場を待つ能舞台」

これは俳句としても情景の浮かぶ一句ですが、
なんとそこに「能登」さんの名前が
盛り込まれているという完成度。
能登さん、句会へのご登場をお待ちしていますよ。

それに負けず劣らずの亜子さんの遅足さんへの返歌。

    「甚平の着心地如何にソクラテス」

これは遅足さんの「ちそく」を「地」と「ソク」に変化させての一句。
今や、遅足さんは「575の会のソクラテス」になっています。

私も来月はチャレンジしたいけどうまくいくかな?

私の「かたつむりちょっと上向く青時雨」は

イギリス人のある大学の先生が日本語で作ったある俳句を読んでできました。
それは

     「葉の裏で青い夢見るかたつむり」

というもの。なんだかメルヘンチックで素敵な一句だな~と思い
童話を作るようにしてみました。ありがとうございました。

これからはいよいよ梅雨本番。また違った青時雨がみられそうです。
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冷酒や下戸の父ほどワルじゃなし    朱露

2010年06月17日 | Weblog

      詳しく言えないが実に悪い男だった。
      お陰で六人の息子どもは皆大人しい。
      兄亡き後次男の私が弟どもの模範だ。
      しっかりした酒飲みにならなくては。

    「冷酒」(れいしゅ、じゃなくひやざけ)が夏の季語です。

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6月句会の最終結果です。    遅足

2010年06月17日 | Weblog
五月晴の夕べとなった6月句会。
朝には、宿題の青時雨も見られました。
立雄さんの選句が届きました。最終結果です。


題詠「青時雨」

①青時雨大義ないまま群れ集う(朱露)静荷・結宇
②心中の川は流れて青時雨(亜子)遅足・童子
③青葉時雨破れ(ヤレ)堂軒に安居(アンゴ)かな(結宇)・狗子
④青時雨登場を待つ能舞台(遅足)鳥野・狗子・郁子・亜子・晴代・立雄・童子
⑤石組みの乾く間のなき青時雨(晴代)朱露・鳥野・狗子・麗子・立雄
⑥玉砂利を行けば太古の青時雨(郁子)愚足・亜子・立雄
⑦風の足地面にしるす青時雨(能登)静荷
⑧かたつむりちょっと上向く青時雨(麗子)朱露・能登・愚足・遅足・郁子・静荷・晴代・結宇
⑨城垣の紀州青石青しぐれ(静荷)能登・麗子・亜子
⑩青しぐれ小鳥潜める木陰かな(立雄)愚足・麗子・童子
⑪青時雨れ少し重たく落ちにけり(狗子)朱露・鳥野・遅足・郁子・晴代
⑫水底のイモリ絡みし青時雨(愚足)能登・結宇


      

自由題
 
①蝸牛昨日のことは昨日まで(静荷)朱露・能登・鳥野・麗子・郁子・立雄
②実を残し義母旅立ちぬ茄子の花(立雄)遅足・亜子・童子
③自殺する蚯蚓の背中変色す(朱露)静荷
④万緑や奥の院まで開山忌(カイサンキ)(結宇)鳥野・遅足・狗子
⑤甚平の着心地如何にソクラテス(亜子)朱露・麗子・静荷・晴代・立雄・童子
⑥水の輪が重なり恋のあめんぼう(遅足)能登・愚足・狗子・郁子・亜子・結宇・立雄
⑦流れ出る汗と語りて草をひく(郁子)麗子
⑧梅雨入りや管弦楽のチューニング(麗子)朱露・愚足・狗子・郁子・晴代・童子
⑨十薬や後架にひそと活けられて(晴代)能登・鳥野・愚足・遅足・結宇
⑩あこがれて天に咲きたるホウの花(能登)静荷
⑪梅雨入りや難問題の解見えず(狗子)亜子・晴代・結宇
⑫麦の秋インカの目覚めの甘きこと(愚足)

   愚足さんが体調不良とのこと。
   早く回復して顔を見せて


☆次回は7月21日(水)午後6時 安田屋。

宿題は「夏の色」夏を感じさせる色を詠んで下さい。
「色」という文字を使っても使わなくても自由です。
ああ、これが夏の色だ!という句を。ちょっと難しいかな?


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極東の小島の梅雨の詰碁かな   朱露

2010年06月16日 | Weblog

     ヒマさえあれば詰碁をやっている。
     敵を理詰めに窮地に追い込む喜び。
     同時に敗者の絶望と怨念に燃える。
     四十五センチ四方の中でのたうつ。

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夏の宵シャッター街の曲り角    朱露

2010年06月16日 | Weblog

     久しぶりに夜の街へ出てうろたえた。
     四つ角の前後左右に人の気配がない。
     これは非常に恐しく寂ししいことだ。
     現れた人にホッとするか逃げるのか。

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時の記念日、忘れてた。   鳥野

2010年06月15日 | Weblog
うちの中に、いったい幾つあるのでしょうか。
と、時計についてのお尋ねです。

すぐには答えられません。

置き場所が固定された物、持ち歩く物、アナログ、デジタル・・・、
電波時計や携帯電話、あるいはPCの表示、そのほか。

思い出してみて、可愛らしかったのは鳩時計。正時と半時にポッポと知らせてくれました。
懸命に鳴いても、いまでは、もう誰も喜びはしません。

6月10日は時の記念日でした。671年に天智天皇が漏刻を設けて、時を知らせた故事による、とされています。

時間に追いかけられない日常こそ。

 ・ お役目はもうご免とや鳩時計 刻に遅れてホーホー放恣

                        鳥野
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6月句会の句が集まりました。   遅足

2010年06月14日 | Weblog
今回の題詠は「青時雨」です。

①青時雨大義ないまま群れ集う
②心中の川は流れて青時雨
③青葉時雨破れ(ヤレ)堂軒に安居(アンゴ)かな
④青時雨登場を待つ能舞台
⑤石組みの乾く間のなき青時雨
⑥玉砂利を行けば太古の青時雨
⑦風の足地面にしるす青時雨
⑧かたつむりちょっと上向く青時雨
⑨城垣の紀州青石青しぐれ
⑩青しぐれ小鳥潜める木陰かな
⑪青時雨れ少し重たく落ちにけり
⑫水底のイモリ絡みし青時雨

       
  

自由題
 
①蝸牛昨日のことは昨日まで
②実を残し義母旅立ちぬ茄子の花
③自殺する蚯蚓の背中変色す
④万緑や奥の院まで開山忌(カイサンキ)
⑤甚平の着心地如何にソクラテス
⑥水の輪が重なり恋のあめんぼう
⑦流れ出る汗と語りて草をひく
⑧梅雨入りや管弦楽のチューニング
⑨十薬や後架にひそと活けられて
⑩あこがれて天に咲きたるホウの花
⑪梅雨入りや難問題の解見えず
⑫麦の秋インカの目覚めの甘きこと

     

さて、どんな選評が聞かれるのでしょうか?
楽しみです。
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