575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

大津絵の筆のはじめは何仏   芭蕉

2012年02月12日 | Weblog
大津絵といえば鬼の絵。鬼の寒念仏。
鬼が僧衣をまとった絵柄です。よく見ると角が折れています。
これは、欲の角を折るように、という教えを示したものとか。

大津絵の始まりは江戸の昔。
京に東本願寺がつくられた時、立ち退きを迫られた
仏画師や絵師たちが、大津・追分の街道筋に移住。
旅人に仏画を売って暮らしを立てたことに始まるそうです。

芭蕉の句は、元禄4年、大津での作。筆始を詠んだもの。
普通、書初めはめでたいものを書くが、
大津絵の書初めは何佛をかくのかな、と。

本願寺なら、阿弥陀仏ではないかな?とは私の推理。
このお話、街道沿いにある閑栖寺のご住職からお聞きしたもの。
雨模様の寒い日でした。
このお寺には、芭蕉よりも2年前の元禄2年に詠まれた句が石碑に。

  追分の絵師もしらしなけさの春  和風

今朝の春とは、新年の意味。立春とは名ばかり。
この寒さでは、追分の絵師も新年とは思えないだろう、
という句意でしょうか?
まるで今年の寒さを詠ったようですね。

                     遅足

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春寒し眠る車と起きぬ人    朱露

2012年02月12日 | Weblog
    七時半朝食後二階の雨戸を開ける。
    東の多米連峰から二月半ばの朝日。
    空山人を見ず只人語の響きを聞く、
    と気取りたいが人間の気配がない。

            


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鴛鴦の手毬のごとく転がれり    遅足

2012年02月11日 | Weblog
京都・宝ケ池の鴛鴦です。
テレビのニュースで見た翌日、宝ケ池に。
この日は晴れたり、突然、雪になったり・・・
寒い日でした。
池の周りにはジョギングをする人、散歩する人。
カメラを持った人の姿も。
お目当ての鴛鴦は池の北、人が入れない岸ちかくに。

今はカップルをつくる季節なのでしょうか?
雄同士が雌をめぐって争っていました。
どうも鴛鴦は毎年、伴侶を変えるようです。

雄が恋敵を追い払う素早さ。
美しい羽が冬日差しに輝いていました。


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寒明けて酒冷やで飲む心意気     朱露

2012年02月11日 | Weblog
   二月四日が立春と聞きますので、
   二月十一日ともなれば立派な春。
   雲にそびゆる高千穂の、と歌う。
   その後が出て来ない歴史の長さ。

            



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春光や団地から出る小学生    朱露

2012年02月10日 | Weblog

  南へ百米の所に七階建ての団地が続く。
  三十代の頃名古屋郊外の団地で暮らす。
  四人居る子供たちは出払ってしまった。
  振り出しに戻りブツブツ言って暮らす。

          


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福寿草姉は静かに眠りたり     朱露

2012年02月10日 | Weblog
一読、一体どんな眠りなのでしょう?
一日の疲れにぐっすり眠っているのでしょうか?
あるいは、永眠でしょうか。
福寿草と取り合わされたことによって、
穏やかで静かな、幸福な眠りがイメージされます。

真鶴の姉がこの一月十二日亡くなりまして、と作者。

           

さて、「寒明け」句会が近づいてきました。
今年は寒が明けても寒さが一向に弱くなりません。
北陸や東北では大雪が続いています。
一体、どんな句が集まるのか?楽しみです。

    寒明けの鏡に映す寒の街    遅足



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寒は明けても   麗

2012年02月09日 | Weblog
暦の上では春ですが今日もうっすら雪景色。
春は名のみですね。

昨日はいつもの句会会場の東寿司さんのお向かいの伏見ミリオン座で
映画「しあわせのパン」を見てきました。
洞爺湖畔でカフェベーカリーを営む夫婦のお話。
北海道の美しい景色とおいしい焼きたてのパンと引き立てのコーヒーが訪れる人の心を癒していきます。

映画館のコーヒーショップで映画にちなんで「しあわせのパン」を売っていて(北海道の物ではありませんが)お土産に買って帰りました。

     寒明けて焼きたてのパン買いにいく  麗
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蓬愛しや  鳥野

2012年02月07日 | Weblog
節分、立春を経て、いよいよ春。頑固に居座っていた寒波も退散の気配です。

季節を先取りして、和菓子屋の店先はひときわ賑やか。

「草餅」も並び始めました。

草餅の草は言わずと知れた蓬。香、色、味の他に素晴らしい力持ち。
煎じて健胃に造血に、風呂に入れて保湿に、乾燥させて灸の艾にと、まさに万能薬です。
古来から親しまれてきました。
蓬の古い呼び名は「さしも草」または「させも草」。百人一首にも歌われています。

 ・ かくとだにえやは伊吹のさしも草さしも知らじな燃ゆる思ひを

                  (藤原実方朝臣 後拾遺和歌集)

 ・ 契りおきしさせもが露を命にてあわれ今年の秋もいぬめり

                  (藤原基俊 千載和歌集)




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向日葵のようになりたくて福寿草     狗子

2012年02月06日 | Weblog
小さな福寿草の花。
地面に張り付くように咲いています。
もっとお日様に近づきたい。大きくなりたい。
福寿草に託した作者の思いかもしれませんね。

中八は良くないとされていますが、例外はあるものですね。
中八の滞った感じが効果的です。
                   遅足
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ちいさめの愛のかたちやふくじゅそう     能登

2012年02月06日 | Weblog
「愛」のほかは、ひらがな尽くしの表記、効いています、
と鳥野さん。

ちいさめの愛のかたち、という捉え方が良いですね。  
若い男が女性に花を差し出している、
レイモン・ペイネの絵のようです。

福寿草は昔から日本列島に生育していました。
アイヌ民族は「母なる花」として大切にしたそうです。
フクジュソウ、キタミフクジュソウ、ミチノクフクジュソウと
三種あって、フクジュソウは日本の固有種だそうです。

                       遅足

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めでたさに毒を秘めたる福寿草     須美  

2012年02月05日 | Weblog
福寿草の根には強い毒性があると聞いたので、と
作者。

このままですと、
福寿草の説明になっています。

  めでたさは毒を秘めたり福寿草

と、中七と下五の間に切れを入れます。

めでたさには往々にして毒のあるもの、というコトと、
福寿草の花の取り合わせの句になります。
句に読者の読む隙間が生まれます。

読者は、自分の生活体験などから、
想像力を働かせて、隙間を埋めて読むことになります。
この取り合わせの間が、接近しすぎると、空間が狭く
想像の翼が広げられません。
間隔が広すぎても、想像力は働きません。
この微妙な言葉の隙間に「詩」が生まれるのでしょうか。

                    遅足



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水遣りし白寿の母の福寿草    立雄

2012年02月04日 | Weblog
昨年亡くなった母。
ホームに入っていましたが、福寿草を大切にしていました。
水遣りも忘れずに元気だった母。
母亡き後、今年も福寿草は明るく美しい花を咲かせました。
元気だった母の笑顔を思い出します。
と、作者の言葉。

俳句は「今」を詠むものといわれています。
今のなかには過去も含まれており、
この句は、そうした意味で奥行きの深さがあります。

          

今日は立春。寒が明けました。
でも春は名のみの寒さです。
インフルエンザも大流行、嗽と手洗いは入念に。

                 遅足


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節分の朝   麗

2012年02月03日 | Weblog
節分の朝、窓を開けようとしてもうんともすんとも動かない。
結露が凍ってしまって8時半ごろようやく溶けて窓を開けることができました。
こんなことは初めてでそれだけ冷え込んだ朝だったのですね。

今夜は豆まきをするので、そのあとでその豆を食べるためにも
ちょっと念入りに掃除機をかけました。
家中の窓を開け放ち空気を入れ換えました。まだ寒い~。

     窓を開け節分の風を入れてみる    麗
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福寿草昨日のことは昨日まで   静荷

2012年02月03日 | Weblog
人生いろいろ。禍福はあざなえる縄のごとく。
よいこともあれば、嫌なことも。
そんな時、ココロを切り替えることが肝心。
年齢とともに、この切り替えスイッチの能力は
大きくなっていくようです。

福寿草の花を見ていれば・・・   遅足


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人外に節分の雨降り止まず    大道寺将司

2012年02月03日 | Weblog
大道寺将司さんの句集Ⅱ「鴉の目」より。

人外(じんがい)とは、人の住む世界の外。
世間の外。出家の境遇などを指します。
作者は世間を離れた場所にいて節分の雨を見ている。

  一身に木の芽の声を聞きをりぬ

この一瞬一瞬を全身で生きているという
手ごたえが感じられます。

  往古より鳴き継がれたる蝉の声

いのちの途切れざる継承・・・

  いなびかりせんなき悔にのまた溢る

一瞬の閃光のなかに過去がよみがえります。
1947年生まれの作者は死刑囚。
74年の三菱重工業本社ビル爆破事件で
死刑判決を受けました。獄中での句です。

句集のタイトルになっている句は

  秋の日を映して暗き鴉の目

この句について作者は次のように記しています。

死刑囚として拘禁されているため、
私はいうところの机上派ですが、
この句は数少ない例外のひとつです。
それだけに運動場の鎧壁越しの鴉の目の暗さとともに
忘れ難いものとなっているのです。

こんな句が気に入りました。

  天穹の剥落のごと春の雪

  木枯や海越えてゆく日章旗 

  群れ飛びて独りと思う蜻蛉かな

           


今日は節分。名古屋は零下4度という寒い朝でした。

  節分の瓦礫のなかを鬼走る    遅足


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