![]() | 「家族」はこわい―母性化時代の父の役割日本経済新聞社このアイテムの詳細を見る |
著者がNHKラジオ出演、その話を聞いて興味を持ち、著書を探して読んだ。
著者は本書によると”行動する精神科医”として活躍中とのこと。
本書によれば「親の仕事(機能)」には大別して三種あり、一番目が「抱くこと(ホールディング)」二番目が「子供の行動に限界を設定して欲求不満をおこすこと」(リミット・セッティング)三番目が「子別れ」(デタッチメント)。
この中で特に父親に比重がかかるのが二番目の「限界設定」と三番目の「子別れ」。きちんと「限界設定」されない(いくら夫婦仲が悪くても両親がともに協調してしなければならない)で育った子供は、親に挑戦するようになりこれはドンドン、エスカレートするとのこと。
次に「子別れ」に関して父親の役目は、母子の密着した関係を絶つナイフの役割、母の子に対する「限りなき世話やき」を断ち切ること。「母という泥沼」に足をとられ、助けを求めている子供の手を引っ張りあげ、「子別れ」をスムーズに手助けするのが父親の役割。
息子が家庭で暴力をふるい、もはや母親の手には負えず、父親が仕事をなげうって面倒を見た―結果、父親は息子を金属バットで殴殺した事件。著者は、この事件は父親が「限界設定」「子別れ」機能を果たすべきであったのに、「抱くこと(ホールディング)」に固執したため、起きた悲劇と説く。
他にも「アダルトチルドレン」「アガメムノン恐怖」「四つの誕生」など親子関係、夫婦関係に関して数々の興味ある話が展開される。
