【原文】
子夏問曰、巧笑倩兮、美目盻*兮、素以爲絢兮、何謂也、子曰、繪事後乎、子曰、起予者商也、始可與言詩已矣、
【読み下し】
子夏問うて曰わく、巧笑倩(こうしょうせん)たり、美目ハンたり、素以て絢(あや)を為すとは、何の謂いぞや。子の曰わく、絵の事は素を後(のち)にす。曰わく、礼は後か。子の曰わく、予(わ)れを起こす者は商なり。始めて与(とも)に詩を言うべきのみ。
【通釈】
子夏が「『笑(え)まい可愛いや口元えくぼ、目元美しぱっちりと、白さで美しさを仕上げたよ』というのは、どういう意味でしょうか。」とおたずねした。先生は「絵の場合には白い胡粉で後仕上げをする[ようなものだ]。」といわれると、「[まごころがもとで]礼はあとしあげでしょうか。」といった。先生はいわれた、「自分を啓発してくれるのは商だよ。それでこそ君と詩を語ることができるね」
【English】
Tsze-hsia asked, saying, "What is the meaning of the passage-'The pretty dimples of her artful smile! The well-defined black and white of her eye! The plain ground for the colors?'"
The Master said, "The business of laying on the colors follows the preparation of the plain ground."
"Ceremonies then are a subsequent thing?" The Master said, "It is Shang who can bring out my meaning. Now I can begin to talk about the odes with him."
『論語』とは、読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。