
【原文】
曾子有疾、召門弟子曰、啓予足、啓予手、詩云、戰戰兢兢、如臨深淵、如履薄冰、而今而後、吾知免夫、小子、
【読み下し】
曾子、疾(やまい)あり。門弟(もんてい)子を召(よ)びて曰わく、予(わ)が足を啓(ひら)け、予が手を啓け。詩に云う、戦戦兢兢として、深淵に臨むが如く、薄冰(はくひょう)を履(ふ)むが如しと。而今(いま)よりして後(のち)、吾れ免(まぬが)るることを知るかな、小子。
【通釈】
曾子が病気に罹られたとき、門人達を呼んで言われた、「わが足を見よ、わが手を見よ。詩経には『恐れつ戒めつ、深き淵に臨むごと、薄き氷をふむがごと』とあるが、これから先は私ももうその心配が無いねえ、君たち」
【English】
The philosopher Tsang being ill, he cared to him the disciples of his school, and said, "Uncover my feet, uncover my hands. It is said in the Book of Poetry, 'We should be apprehensive and cautious, as
if on the brink of a deep gulf, as if treading on thin ice, I and so have I been. Now and hereafter, I know my escape from all injury to my person. O ye, my little children."
『論語』とは
読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。