![]() | ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書) |
クリエーター情報なし | |
筑摩書房 |
【一口紹介】
二〇一〇年夏、三歳の女児と一歳九カ月の男児の死体が、大阪市内のマンションで発見された。
子どもたちは猛暑の中、服を脱ぎ、重なるようにして死んでいた。母親は、風俗店のマットヘルス嬢。
子どもを放置して男と遊び回り、その様子をSNSで紹介していた…。
なぜ幼い二人は命を落とさなければならなかったのか。それは母親一人の罪なのか。
事件の経緯を追いかけ、母親の人生をたどることから、幼児虐待のメカニズムを分析する。
現代の奈落に落ちた母子の悲劇をとおして、女性の貧困を問う渾身のルポルタージュ。
目次
プロローグ(接見室の母親餓死現場 ほか)
第1章 事件(二〇一〇年二月マンションに響く泣き声夜の女性たちが暮らす町 ほか)
第2章 父の物語(新旧が継ぎはぎされた町赴任先はランク最下位の困難校 ほか)
第3章 高校時代(高校での生活ラグビー部のマネジャーとして ほか)
第4章 離婚(理由のない浮気子どもを放置して出奔 ほか)
第5章 母なるものとは(大阪ミナミの風俗店に転職福島のDV被害者の場合 ほか
【読んだ理由】
新聞の書評欄を見て
【印象に残った一行】
量刑の理由として、裁判長は、五十日間放置されて死んだ一歳七か月と三歳の子供たちの死の「態様のむごさ」を挙げた。子供たちの苦しみの最中、複数の男性と遊興にふけり、遺体発見後も男性とドライブに出掛けセックスをした芽衣さんお行動も非難した。さらに、遺族の厳しい処罰感情にも言及。一般予防の見地も無視できないとした。「解離性の病理」や「虐待」についての知識があれば読み解ける芽衣さんの行動は、そうでなければ、理解し難いほどの残虐行為だ。だが、最後まで子供たちのいるマンション界隈からはなれず、逮捕後も母親であることを主張し続ける芽衣さんは、意図的にわが子に殺意を抱いたのか。あるいは放置することで死んでしまうなら、しんでしまってもいいというような「刑法上の殺意」=未必の故意を抱いたのか。
【コメント】
当事者でなければうかがい知れないこともあろうが、この母の異常な行動、そしてこの母の両親、別れたといえ被害者の子供たちから見れば父、祖父母のあえて言わせてもらうが、助けようとしない冷淡さは何なのだろう。