【漢文】
子適衛、冉有僕、子曰、庶矣哉、冉有曰、既庶矣、叉何加焉、曰富之、曰既富矣、叉何加焉、曰教之。
【書き下し文】
子、衛(えい)に適(ゆ)く。冉有(ぜんゆう)僕(ぼく)たり。子曰わく、庶(おお)きかな。冉有が曰わく、既(すで)に庶し。又た何をか加えん。曰わく、これを富まさん。曰わく、既に富めり。又た何をか加えん。曰わく、これを教えん。
【現代語訳】
孔子が衛の国を訪れたとき、冉有(ぜんゆう)が御者を務めていた。孔子が、
「人口が多いな。」
とおっしゃると、冉有が、
「人口が既に多い国では、先生は何をなさいますか?」
と尋ね、孔子は、
「人々を豊かにするだろう。」
と答えられました。冉有が次に、
「人々が豊かになったら、次は何をなさいますか?」
と尋ねると、孔子は、
「彼らを教育するだろう。」
と答えられました。
【English】
When Confucius visited Wei, Ran You drove the carriage. Confucius said, "Wei has a large population." Ran You asked, "If it has a large population, what will you do, master?" Confucius replied, "I will make the people be wealthy." Ran You asked, "If the people are wealthy, what will you do next?" Confucius replied, "I will teach them."
『論語』とは
読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。