彼女の人生は間違いじゃない | |
クリエーター情報なし | |
河出書房新社 |
【一口紹介】
◆内容紹介◆
仮設住宅に住む役所勤めのみゆき。
震災後、恋人とぎくしゃくする彼女は、東京でデリヘルのバイトを始め……フクシマの今を描く、映画監督・廣木隆一の初小説。
赤坂真理・高良健吾・降谷建志氏推薦!
◆内容(「BOOK」データベースより)◆
震災後、恋人とうまく付き合えなくなったみゆき。
仮設住宅で父と二人で暮らす彼女は、役所勤めのかたわら、東京でデリヘルを始める。話題の映画監督の初小説。
◆著者について◆
1954年福島県生まれ。映画監督。大ヒットとなった「余命1ヶ月の花嫁」のほか、「軽蔑」「きいろいゾウ」「100回泣くこと」など、文芸作品にも定評がある。近作に「さよなら歌舞伎町」「娚の一生」など
【読んだ理由】
新聞の書評を見て、今のフクシマを少しでも知りたいと思ったから。
【印象に残った一行】
車を運転していると本当にここが同じ町かと思ってしまう。
40分くらい走らせると時間が止まっているような錯覚を覚えた。春の日差しの中で全ての物が生きている。虫、草花、カラス、田んぼ。しかし不気味なくらいの静けさが,広がっていた。何かの気配が感じられない世界。時折鳴く鳥の声が見えない何処かに吸収され、いっそう静寂を連れて来る。自分の飲み込むツバの音が大きく聞こえる。耳の具合が悪いのか不安になり、大きくあくびをする。太陽に照らされたアスファルトの道路は車が走っていない分だけどこまでも続いているようにも、どこにも行けないようにも見える。消えたままの信号機が不気味に続く。林を抜けていくと寺が見えてきた。
【コメント】
私の学生時代の友人の実家が福島県の浪江町。
北海道旅行の帰りに立ち寄り一泊させていただき歓待を受けたがあの町も無人の町になっている。
お世話になったご両親もそこに眠られている。