ひとりで死ぬのだって大丈夫 | |
クリエーター情報なし | |
朝日新聞出版 |
【一口紹介】
◆内容紹介◆
2500人の終末期に寄り添った緩和ケア医が「たった一人でも大丈夫」といえる最後の日々のあり方を具体的な事例とともに提案する。
病気と心を診る医師による痛みへの対処法、家族が陥りやすい勘違いによる患者の苦しみ、死にゆく人のためのケア……。
【もくじ】
第一章 いのちの限界、医療の限界を知ろう
・死ぬからこそ充実して生きられる
・不運続きだった「本の虫」
・ひとりで死んでも「幸せな人」だった
・「団塊の世代」が作り出す死に場所のない時代
・日本人を死ぬことを忘れている
・「亡くなる直前まで普通の生活」はほとんど無理
・「治す医療」にこだわり続ける悲劇
・死は「敗北」ではない
第二章 がんは本当に「不幸な病気」なの?
・がんを病んでも心まで病む必要はない
・がんは治らなくてもすぐ「死」ではない
・がんは「フルタイム」で闘病しなくてもよい
・自分の病状をわかっていないと不幸のもと
・知らせ方が悪いから「悪い病気」になる
第三章 緩和ケアで「痛み」をとる
・痛みの治療法はすすんでいる
・「緩和」という言葉を知らなかった梨元勝さん
・緩和ケアはがん治療の初めから取り入れられる
・痛みの原因は痛さの強さで使い分ける
・いまだにモルヒネには大きな誤解
・終末期の抗がん剤治療は治癒を目的とするものではない
・すべての緩和ケア病棟が“終の住処"なのではない
・「死を迎える場」ではなく「充実した時を過ごす場」
・過剰な栄養補給は苦しみを募らせるだけ
・嚥下障害対策も一筋縄ではいかない
第四章 心へのはたらきかけがいのちを救う
・死にゆく人のためのケアがない
・前向きの心を求めることは難しい
・“お迎え"は魂の帰るべき場所の発見
・「よく生きた」と思えるかどうかを問うケア
・キーワードは許し
・許す心があればひとりぼっちではない
・「無縁死」は防げるかもしれない
・患者にも家族をケアしたいという気持ちがある
・「なぜ死にたいか」を聞いてあげることがケアになる
・温かいうちに抱きしめる
第五章 「徹底抗戦」の病院か、「平和主義」の在宅か
・在宅医療が「当たり前」の時代に
・病院は「生活の場」ではない
・「在宅なんて無理」という先入観を捨てる
・在宅医療は介護者に絆を与える
・在宅での看取りは生涯も少なくない
・「救急車を呼ばないで」は、正しいのか
第六章 家族が"すべきこと"と"してはならないこと"
・正確に状況を伝えることが心の安定につながる
・もはや「がんばれ」と言い過ぎないことは常識
・周りの中途半端な医療知識は本人を苦しめる
・ステータスで医療を選んではいけない
・「すべてひとりで」には無理がある
・代替医療やサプリメントとうまく付き合う
・「弱さを見せたくない」という気持ちを尊重する
・最後まで耳を傾ける姿勢を持つ
・人工栄養選択の判断は揺れ動く
・治療を終えたあとの生活を考えて余裕を残しておく
第七章 その人らしさを支えるケア
・「死ぬ瞬間まで生き続ける」という姿こそ尊い
・エンディングノートは「どんな最期を迎えたいのか」を伝える
・眠ることで苦しみからの解放を図るセデーション
・「食べられない」と言ったら絶対に無理強いをしない
・「しもの世話」はケア側の都合だけで決めないで
・「オムツだけは勘弁して」という意見は尊い
・リンパ浮腫は状態に合わせた対応を
・腹水の治療はリスクも忘れずに
・せん妄にはあわてずに寄り添う
・細胞は死んでもまだ生きているものが
第八章 悲嘆(グリーフ)の中にある人たちのサポート
・「また会いましょうね」
・死ではなく「人生の完成」
・「早く忘れなさい」は絶対禁句
・「つらいこと」に触れてあげたほうがいい
・医療者だからこそできる遺族ケアもある
・妻を亡くした夫はがんばってしまう
・逆縁には特別なケアが必要
・子どもは遊びの中で癒されていく
・朝には紅顔ありて、夕には白骨となれる身なり
・「往生」のヒントは日本人の生活の根底にある
◆内容(「BOOK」データベースより)◆
痛みへの対処法、その人らしさを支えるサポート、病院でも在宅でも、病と死に向き合う心得20、考えるための絵本、本、DVD作品リストつき。
◆著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)◆
奥野/滋子
1960年、富山県生まれ。緩和ケア医。1985年金沢医科大学大学卒業後同大学大学院(形成再建外科学)に進学。痛み治療を学ぶために2年で中退、1987年順天堂大学医学部麻酔科学講座に入局。2000年から緩和ケア医に転向。社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院ホスピス、神奈川県立がんセンター、順天堂大学医学部附属順天堂医院緩和ケアセンターを経て、現在特定医療法人社団若林会湘南中央病院在宅診療部長として、教育と臨床の両面で緩和ケアに携わっている
◆【読んだ理由】 ◆
同い年の友人に薦められ。
◆【印象に残った一行】 ◆
確かに死は人間にとって最大の恐怖でしょう。身体の苦痛に加え、かつて犯した罪への呵責、死後の世界への不安、生きてきた人生の意味づけ、孤独感など、否が応でも自分の内面と向き合わなければなりません。その時自分の先祖と手がつながり、あるいは自分が信じる人間を超越する誰かに導かれてあの世に旅立つことがイメージできたなら、まだ残された生命、時間、生活を積極的にいきることができたなら、私たちはほんの少し恐怖から逃れることはできないでしょうか。
◆【コメント】◆
『日本は二人に一人ががんになり、三人に一人ががんで亡くなっています。まぎれもなく世界一の「がん大国」だ』そうだ。
『朝には紅顔ありて、夕には白骨となれる身なり』(白骨の御文章)