向田理髪店 | |
クリエーター情報なし | |
光文社 |
◆内容紹介◆
次々起こるから騒ぎ。過疎の町は、一歩入れば案外にぎやか。
北海道の寂れてしまった炭鉱町。
息子の将来のこと。年老いた親のこと──。
通りにひと気はないけれど、中ではみんな、侃々諤々。
心配性の理髪店主人の住む北の町で起こる出来事は、他人事ではありません。
可笑しくて身にしみて心がほぐれる物語。
◆著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)◆
奥田/英朗
1959年岐阜県生まれ。2002年『邪魔』で第4回大藪春彦賞受賞。’04年『空中ブランコ』で第131直木三十五賞受賞。
’07年『家日和』で第20回柴田錬三郎賞受賞。’09年『オリンピックの身代金』で第43回吉川英治文学賞受賞
【読んだ理由】
ひさしぶりの奥田作品。
【印象に残った一行】
向田理髪店の日常は今日も変わらない。朝の七時に開店して、じっと客を待つ。午前中に来るのは年寄りばかりで、せいぜい二組だ。何時も奥から母が出て来て、話し相手になる。天気のこととか、どこそこの娘がいよいよ嫁に行くらしいとか、そういう話だ。それを聞きながら、康彦は散髪をする。髭まであたって三千七百円。新しい客は来ないから、月の売り上げに上下動はない。
母親は息子を残して自殺なんかしないの。母親は何があろうと、最後まで、息子を信じて庇うものなの。(略)過去の事件を見たって、息子の犯罪に責任を感じて自殺するのはみんな父親でしょ。母親は死なないの。
【コメント】
人の温かさが感じられて涙が・・・・。