日本男道記

ある日本男子の生き様

命のことば

2007年11月19日 | 読書日記
命のことば (文芸第一ピース)
瀬戸内 寂聴
講談社

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【一口紹介】
◆出版社 / 著者からの内容紹介◆
かけがえのない命を、輝かせて生きるために。
先人の智恵を選りすぐり、寂聴尼があなたに贈る珠玉の「ことば」集。
カラー挿画 榊莫山

◆「MARC」データベースより◆
作家・僧侶として活躍する瀬戸内寂聴が、先人たちが残した智恵のことばを選りすぐり、苦しみと無常の世に生きるすべての人に贈る珠玉の「ことば」集。榊莫山の書画も収録。
『寂庵だより』連載「今月のことば」の単行本化。

【読んだ理由】
瀬戸内 寂聴作品だから。

【印象に残った一行】
『親切で慎み深くありなさい
あなたに出会った人が誰でも
前よりきっと気持ちよく
明るくなって帰るようにしなさい
親切があなたの表情に
まなざしに
ほほえみに
温かく声をかける言葉に
あらわれますように』マザー・テレサの言葉

『火は物を焦がすとその火は知らず、水は物を潤すとその水は知らず。仏は慈悲をして慈悲を知らず。』至道無難の言葉。

『死は、前よりしも来たらず かねて後ろに迫る』吉田兼好著 徒然草

【コメント】
命という宝物・すべての苦しみは煩悩から・他を愛する慈悲の心を・無常の世をみつめて・の各編からなり仏教を中心に先哲の金言には心打たれる。
 



Daily Vocabulary(2007/11/19)

2007年11月19日 | Daily Vocabulary
4876.taxing(ひどく骨の折れる、苦労の多い)
It can be taxing to draw the line between civility and efficiency.
4877.undermine(~の下を掘る、~の土台を壊す、~を徐々に弱らせる、名声などをひそかに傷つける、台無しにする)
She tried to undermine his experiment by changing the data.
4878.drive someone crazy(人を発狂させる)
Doing household chores day after day almost drove her crazy.
4879.annoying(気に障る、人を悩ます、うるさい)
Some people consider biting of nails an annoying habit.
4880.perpetual(恒久の、果てしない、絶え間ない、しょっちゅう起きる)
Drunkenness produces perpetual quarrels, which sometimes ends in murder.
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大工調べ

2007年11月18日 | 私の好きな落語
【まくら】
別名を「大岡裁き」「大工裁き」「大工訴訟」などともいう。
奉行が裁く「政談物」あるいは「裁き物」の代表的な噺。

江戸時代では裁判のことを「公事(くじ)」という。
また、犯罪が起きて逮捕されて裁判することを「吟味筋」と言い、訴訟が起こって裁判することを「出入筋」と言った。
訴訟の場合は訴訟人が目安(訴状)を奉行書に提出する。
目安糺という係が、訴訟を受理するかどうか、書類を検討する。
受理することが決まったら、借金問題のような金のやりとりに関することなら、奉行所は書類に裏書きして、被告の住む町の町名主や村役人に渡す。
裏書きには、内済(和解)させるように、と書いてある。
そこで、名主や村役が間に入り和解にもちこめれば、裁判所に行かずにすむ。
和解できない時は裁判となる。
裁判では原告、被告が決められた日に出頭し、吟味を受ける。
そこで裁許(判決)が出て、支払いの日限が決まる。
金(かね)の時代である江戸時代は、このような公事が非常に多かった。

出典:TBS落語研究会

【あらすじ】
神田小柳町に住む大工の与太郎。ぐずでのろまだが、腕はなかなか。老母と長屋暮らしの毎日だ。
ここのところ仕事に出てこない与太郎を案じた棟梁(とうりゅう)・政五郎が長屋までやって来ると、店賃(たなちん)のかたに道具箱を家主・源六に持っていかれてしまったとか。
仕事に行きたくても行けないわけ。四か月分、計一両八百文ためた店賃のうち、
一両だけ渡して与太郎に道具箱を取りに行かせる。
政五郎に
「八百ばかりはおんの字だ、あたぼうだ」と教えられた与太郎、うろおぼえのまま源六に「あたぼう」を振り回し、怒った源六に
「残り八百持ってくるまで道具箱は渡せない」と追い返される。
与太郎が
「だったら一両返せ」と言えば「これは内金にとっとく」と源六はこすい。
ことのなりゆきを聞いた政五郎、らちがあかないと判断。
与太郎とともに乗り込むが源六は強硬だ。
怒った政五郎は
「ものがわからねえから丸太ん棒てえんだ。つらァ見やがれ、この金隠しッ」と啖呵を切り、
「この度与太郎事、家主源六に二十日余り道具箱を召し上げられ、老いたる母、路頭に迷う」と奉行所へ訴えた。
お白州で、両者の申し立てを聞いた奉行は、与太郎に、政五郎から八百文を借り、すぐに源六に払うよう申し渡した。
源六は有頂天。またもお白州。
奉行が源六に尋ねた。
「一両八百のかたに道具箱を持っていったのなら、その方、質株はあるのか」
源六「質株、質株はないッ」
奉行「質株なくしてみだりに他人の物を預かることができるか。不届き至極の奴」
結局、質株を持たず道具箱をかたにとったとがで、源六は与太郎に二十日間の大工の手間賃として二百匁払うよう申しつけられてしまった。
奉行
「これ政五郎、一両八百のかたに日に十匁の手間とは、ちと儲かったようだなァ」
政五郎「へえ、大工は棟梁、調べをごろうじろ(細工はりゅうりゅう、仕上げをごろうじろ)」

出典:落語のあらすじ

【オチ・サゲ】
語呂落ち

【噺の中の川柳・譬(たとえ)】
『江戸っ子は五月の鯉の吹流し 口先ばかりではらわたはなし』
『厳しくみえても脆き霰(あられ)かな』
『江戸の名物 武士・鰹・大名小路・広小路・茶店・紫・火消し・錦絵・火事に喧嘩に中腹・伊勢屋・稲荷に犬のクソ』

【語句豆辞典】
【勘当】親が子に対し、親子の縁を経つこと
【中っ原(ちゅうっぱら)】むかっ腹を立てる。心の中で怒ること。あるいはむっとしやすい性質。
【手付け】保証として支払う金額。
【取り上げ婆あ】産婆。
【叩き大工】腕の未熟な大工。金槌で叩くしか能がないという意味。
【番太郎】江戸の町々におかれた自身番にいた小使。火の用心見回りなどをした。
【質株】質屋の株。質屋を営業するには、営業権を証する株を必要とした。

【この噺を得意とした落語家】
・三代目 古今亭志ん朝
・五代目 柳家小さん
・五代目 古今亭志ん生
・十代目 柳家小三治

【落語豆知識】
【カゼ】扇子の事。
 




Daily Vocabulary(2007/11/18)

2007年11月18日 | Daily Vocabulary
4871.all that matters(一番大事なこと。)
You're alive. That's all that matters.
4872.rat race(人生の厳しい生存競争、競争社会)
You should get out of the rat race right away.
4873.draw the line between(~間に境界線を引く)
The congressman needs to learn to draw the line between his personal and professional lives.
4874.instill(〔主義・思想などを〕吹き込む、教え込む、植え付ける)
Her parents instilled a respect for the truth in her.
4875.demarcation(境界[限界]策定[設定])
The demarcation of the demilitarized zone was carried out.
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生きることば あなたへ

2007年11月17日 | 読書日記
生きることば あなたへ
瀬戸内 寂聴
光文社

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【一口紹介】
◆「MARC」データベースより◆
瀬戸内寂聴の著作の中から、自身が選んだ珠玉の文章を集める。
思いわずらって眠れない時、誰かに苦しい胸のうちを打ち明け、聞いてほしい時、ひとりで泣きたい時、心のこもった言葉に慰められる小さな本。

【読んだ理由】
瀬戸内 寂聴作品。

【印象に残った一行】
「みんながよくしてくれて、ほんとうに幸せで、今が極楽。でも、今が幸せだから、こんないい人たたいと別れて江ひとりで死んで往くのがさびしいし、心細い」
生きている与えられた時間に、思い残すことなく人をたっぷり愛しておかなければとしみじみ思います。

自分の記憶ぐらい自分本位に都合よくまげて覚えこんでいるものはなく、自分の行動と心理くらい、麻のように乱れこんがらがっているものはなく、自分の心の奥くらい、堅い殻でしっかりかくし秘めているのものはないのです。

人は一度この世の旅に送り出されたが最後、いやでも前しか進めない運命を担わされています。

万物流転の法則のなかでは、ひとりの人間の運命など、目にもはいらぬゴミみたいなものです。

「忘己利他」(もうこりた)「己を忘れ他を利するものは慈悲の極みなり」

【コメント】
生きるとは「無常」の大海のなかを彷徨い、漂うことか。そしてひとり灰になる。

 



Daily Vocabulary(2007/11/17)

2007年11月17日 | Daily Vocabulary
4866.breath of fresh air(喜ばせてくれる人[物])
Her cheerful personality is a breath of fresh air in this office.
4867.coin of the realm(法貨)
The euro debuts this month as coin of the realm in Europe.
4868.cutthroat(のどを切る人、人殺し、殺し屋、冷酷至極[無慈悲・非情]な人)
Tom is a cutthroat! If you are going to do business with him, keep your guard up!
4869.take a toll(大きな被害[打撃]を与える)
The hurricane last night took a toll in the Midwestern state.
4870.courtesy(礼儀正しいこと、丁寧、礼儀、礼儀正しさ、作法)
Courtesy should be exercised even among intimate friends.
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Daily Vocabulary(2007/11/16)

2007年11月17日 | Daily Vocabulary
4861.brusque(無愛想な、ぞんざいな)
The boss was disliked because he treated his staff in a brusque way.
4862.foremost(第一の、一番の、真っ先の)
He has been foremost among the teachers urging the union to extend the deadlines.
4863.curt(ぶっきらぼうな、言葉が短い、素っ気ない)
I got a curt response to my question.
4864.civility(丁寧さ、礼儀正しさ、礼節)
On their trip to Australia, the prime minister and his wife were treated with civility and consideration.
4865.courteous(礼儀正しい、慇懃な、丁寧な)
Children should be courteous to adults.
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Daily Vocabulary(2007/11/15)

2007年11月17日 | Daily Vocabulary
4856.enlightening(啓発的な)
Thank you very much for your very enlightening talk.
4857.revealing(露出する、理解させる、明らかにする)
He wrote a revealing book about his life.
4858.follow up(引き続き行う、さらに徹底させる、追跡する)
Can you follow up with the customer who had the complaint yesterday?
4859.in this day and age(今日では、現代では)
It is hard to believe in this day and age there is still so much poverty.
4860.mundane(この世の、現世の、平凡な、ありふれた、日常の)
Her everyday life was mundane, so she found a hobby.
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Daily Vocabulary(2007/11/14)

2007年11月17日 | Daily Vocabulary
4851.devote(~をささげる、充てる、向ける)
Susie devoted her life to her hobbies, forgetting about her family.
4852.live wire(送電線、エネルギッシュな人、活動的な人)
He is a live wire and will attack anything that anyone says.
4853.make a claim(クレームをつける、賠償請求をする)
A customer made a claim about the dining table he bought last week.
4854.get back to(~に返事をする)
I'll get back to you on this later.
4855.evacuate(逃げる、避難する、~を避難させる、退避させる)
About 1, 200 people had been ordered to evacuate south St. Louis because of the flood.
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Daily Vocabulary(2007/11/13)

2007年11月17日 | Daily Vocabulary
4846.whiz kid(頭の切れる若手実力者)
Tom was a former whiz kid, but now is an unemployed computer programmer.
4847.make someone's skin crawl(人をゾッとさせる)
This makes my skin crawl.
4848.disconcert(人の心を乱す、まごつかせる、狼狽させる)
The compliment disconcerted me.
4849.taken aback(~にびっくりさせられる、~で不意を突かれる)
I was taken aback when she told me she'd had breast augmentation.
4850.diploma(卒業証書、学位)
I do not have a high school diploma, but I am still able to enter college.
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レ・ミゼラブル〈下〉

2007年11月12日 | 読書日記
レ・ミゼラブル〈下〉 (岩波少年文庫)
ヴィクトル ユーゴー,Victor Hugo,豊島 与志雄
岩波書店

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【一口紹介】
◆出版社からの内容紹介◆
ひときれのパンを盗んだために,19年間もの監獄生活を送ることになったジャン・ヴァルジャンの物語。
19世紀前半のフランス社会に生きる人々の群像を描く大パノラマ『レ・ミゼラブル』の少年少女版。

◆内容(「BOOK」データベースより)◆
素性をかくして社会的な地位を得たジャン・ヴァルジャンだったが、警部ジャヴェルの疑いの目がつきまとう。
慈しんで育てた孤児の少女コゼットは美しく成長して青年マリユスと恋におち、ジャン・ヴァルジャンは複雑な思いで見守る。

◆著者◆
1802-1885年。フランスの詩人・小説家。ナポレオン軍の軍人の子として生まれたが、10代の頃から文学に熱中した。1841年にアカデミー・フランセーズの会員に、45年には貴族院議員になる。51年ナポレオン3世のクーデターに反対して国外追放になり、19年の亡命生活を送ったが、70年、共和制の成立したパリにもどった。多くの詩集のほか、『ノートルダム・ド・パリ』(1831年)『レ・ミゼラブル』(1862年)『九十三年』(1874年)などの小説がある。

【読んだ理由】
「読んでおきたい世界の名著」(三浦朱門編)を読んで。

【印象に残った一行】
『死ぬの、はなんでもない。生きられないのが、おそろしいのだ。』

【コメント】
心の奥に深く何かを残してくれる小説。今度は岩波文庫版(全四冊)に挑戦してみよう。
未読の方には是非お奨めしたい本。
 



Daily Vocabulary(2007/11/12)

2007年11月12日 | Daily Vocabulary
4841.dominant(支配的な、有力な、優勢な)
They have been the dominant team in the league for years.
4842.all over(全体にわたって、いたる所に、一面に)
There are train stations all over the country.
4843.hand in hand(手をとり合って、手を携えて)
We chanced to see them walking hand in hand.
4844.grade school(小学校)
About 22,000 public grade schools took part.
4845.syntax(構文)
Although his vocabulary was good, he had trouble with syntax.
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漢字(2007/11/11)

2007年11月11日 | 私の読めなかった・読み間違えていた漢字
私が日々の生活の中で読めなかった漢字・読み間違えていた漢字を記録していきます。
意味は広辞苑などから引用させていただきました。(英訳付き。)       
731.汚穢屋【おわいや】
いきなりで恐縮だが、意味は、かつて、便所の汲み取りを業とする人をいった語。はるか昔東京で下宿のおばさんが「おわんやさん」と言っていたが、意味がわからず、今その訳が解った。「おわいや」が訛ったものだろう。しかし、それにしても凄まじい字だ。
732.幕間【まくあい】an intermission
知らずに「まくま」と読んでいた。恥。意味は、演劇で、一つの場面が終わって次の場面が始まるまでの、舞台に幕が引かれている間。
733.居丈高【いたけだか】domineeringly
この字も勝手に「いじょうだか」と読んでいた。恥。意味は、人を威圧するような態度をとるさま。
734.四阿【あずまや】an arbor; a summerhouse.
「東屋」とも。意味は、(1)屋根を四方へ葺(ふ)き下ろした建物。(2)庭園や公園に設ける休憩用の小さな建物。萱(かや)・藁(わら)・杉皮などで葺いた寄せ棟形式の屋根で四方を吹き放しにしたもの。
735.雪洞【ぼんぼり】
言葉は知っていたが漢字は知らなかった。意味は、紙張りのおおいのある小さい行灯(あんどん)。
  


                
                 

Daily Vocabulary(2007/11/11)

2007年11月11日 | Daily Vocabulary
4836.stumbling block(つまずきの石、障害)
The city has few large sports facilities, which is a stumbling block to hosting the Olympics.
4837.presently(現在、やがて、間もなく)
She is presently single but looking for a husband.
4838.pitfall(わな、〔地面{じめん}の〕穴、落とし穴)
Drug and alcohol abuse is a pitfall for many these days.
4839.transcribe(~を書き写す、文字に起こす)
The book was transcribed from a radio show.
4840.ubiquitous(遍在する、どこにでもある)
Commercials are ubiquitous.
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居酒屋

2007年11月10日 | 私の好きな落語
【まくら】
金馬の代表作。元々は「ずっこけ」の前半で、それを金馬が一席に独立させたといわれている。
酔っ払いが、店の小僧をからかっているだけの噺だが、それを面白おかしくしたのは金馬の腕である。

【あらすじ】
縄のれんに醬油樽、切り回しているのは番頭と十二、三の小僧だけという、うらぶれた居酒屋に、湯の帰りなのか濡れ手拭いを肩に掛け、ドテラに三尺帯という酔っぱらいがふらふらと入ってくる。
無理やり小僧に酌をさせ、おめえの指は太くて肉がいっぱい詰まってそうだが、
月夜にでも取れたのかと、人を蟹扱いにしたりして、からかい始める。
肴は何ができると聞かれて、小僧が早口で、
「へえい、できますものは、けんちん、おしたし、鱈昆布、あんこうのようなの、
鰤(ぶり)にお芋に酢蛸でございます、へえーい」
と答えるのが面白いと言って、
「今言ったのは何でもできるか?」
「そうです」
「それじゃ『ようなもの』ってのを一人前持ってこい」
その次は、壁に貼ってある品書きを見て
「口上てえのを一人前熱くしてこい」
と言ったりして、小僧をいたぶる。
そうかと思えば、とせうけてえのは何だと聞くから、小僧が
「あれは『どぜう汁』と読むので、濁点が打ってあります。イロハは、濁点を打つとみな音が違います」
と言うと、それじゃあ、イに濁点が付けば何と読む、ロはどうだ、マは? と、点が打てない字ばかりを選ってからかう。
今度は
「向こうの方に真っ赤になってぶら下がっているのはなんだ」と聞くので、あれはゆで蛸ですと答えると、
ゆでた物は何でも赤くなるのか、じゃ猿のお尻やお稲荷さんの鳥居はゆでたかと、ますますからむ。
しまいに、
「その隣で腹が裂けて、裸になって逆さまになっているのはなんだ?」
「あんこうです。鍋にします」
「それじゃ、その隣に鉢巻をして算盤を持っているのは?」
「あれは番頭さん」
「あれを一人前持ってこい」
「そんなものできません」
「番公(=あんこう)鍋てえのができるだろう」

出典:落語のあらすじ 千字寄席

【オチ・サゲ】
ぶっつけ落ち(意味の取り違えがオチになるもの )

【噺の中の川柳・譬(たとえ)】
『酒飲みは奴豆腐にさも似たり、はじめ四角であとがぐずぐず』
『下戸の薬知らず上戸の毒知らず』
『酒のない国に行きたい二日酔い、また三日目に帰りたくなる』
『酒飲みは奴豆腐にさも似たり、はじめ四角であとがぐずぐず』
『生(なま)酔い本性違わず』
(日頃酒をたしなむ人は、中途半端に酒を飲んで酔っていても、本来の気性や考え方を失わない)
『居酒屋も一ト刷毛塗ればバーとなり』
『酒は燗、魚は気取、酌はたぼ』
(「気取」は建築用語の「木取り」に由来し、優れた素材を無駄なく調理すること、たぼ=髱は、日本髪の後ろに突き出た部分のことで、若い女性の喩え。つまり、酒を飲むときには、ほどよいお燗と、肴は気の利いた刺身、それに若い女のお酌があればこの上ないということ)

【語句豆辞典】
【居酒屋】
江戸時代の中期には既にあったと思われる。初めは、酒屋が味を見てもらうために、店先で、枡・湯呑みで飲ましたのが、江戸独特の居酒屋になり男手だけで営業していた。居酒屋を俗に縄のれんというのは、店頭に掛けてあった縄の暖簾に由来する。
【上戸】
下戸の対語で。好き・癖なの意。単に上戸と言えば酒好きのこと。
【月夜の蟹】
月夜にとれた渡り蟹(ぎざみ)は身が少ないといわれるが根拠はない。但し、産卵直後の蟹は身が少ない。
【元方現金】
仕入れが現金。

【この噺を得意とした落語家】
・三代目 三遊亭金馬

【落語豆知識】
【擽り(くすぐり)】噺の中に折り込むギャグ。