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阿智胡地亭のShot日乗

日乗は日記。日々の生活と世間の事象記録や写真や書き物などなんでも。
  1942年生まれが東京都江戸川区から。

錦糸町公園の八重桜も凄かった

2021年04月09日 | 東京あちこち

ちょっと前に身内が中学生活に必要な品を錦糸町に買いに行きました。その時錦糸町公園で一休みしたそうです

 Shot by MM

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詩    「I was born」    吉野 弘

2021年04月09日 | 音楽・絵画・映画・文芸

確か 英語を習い始めて間もない頃だ。

或る夏の宵。父と一緒に寺の境内を歩いてゆくと 青
い夕靄の奥から浮き出るように 白い女がこちらへやっ
てくる。物憂げに ゆっくりと。

女は身重らしかった。父に気兼ねをしながらも僕は女
の腹から眼を離さなかった。頭を下にした胎児の 柔軟
なうごめきを 腹のあたりに連想し それがやがて 世
に生まれ出ることの不思議に打たれていた。

 女はゆき過ぎた。

 少年の思いは飛躍しやすい。 その時 僕は<生まれ
る>
ということが まさしく<受身>である訳を ふと

諒解した。僕は興奮して父に話しかけた。

----やっぱり I was born なんだね----
父は怪訝そうに僕の顔をのぞきこんだ。僕は繰り返し
た。
---- I was born さ。受身形だよ。正しく言うと人間は
生まれさせられるんだ。自分の意志ではないんだね
----

 その時 どんな驚きで 父は息子の言葉を聞いたか。
僕の表情が単に無邪気として父の顔にうつり得たか。そ
れを察するには 僕はまだ余りに幼なかった。僕にとっ
てこの事は文法上の単純な発見に過ぎなかったのだか
ら。

 父は無言で暫く歩いた後 思いがけない話をした。
----蜉蝣という虫はね。生まれてから二、三日で死ぬん
だそうだが それなら一体 何の為に世の中へ出てくる
のかと そんな事がひどく気になった頃があってね
----

 僕は父を見た。父は続けた。
----友人にその話をしたら 或日 これが蜉蝣の雌だと
いって拡大鏡で見せてくれた。説明によると 口は全く
退化して食物を摂るに適しない。胃の腑を開いても 入
っているのは空気ばかり。見ると その通りなんだ。と
ころが 卵だけは腹の中にぎっしり充満していて ほっ
そりした胸の方にまで及んでいる。それはまるで 目ま
ぐるしく繰り返される生き死にの悲しみが 咽喉もとま
で こみあげているように見えるのだ。淋しい 光りの
粒々だったね。私が友人の方を振り向いて<卵>という
と 彼も肯いて答えた。<せつなげだね>。そんなことが
あってから間もなくのことだったんだよ。お母さんがお
前を生み落としてすぐに死なれたのは
----。


 父の話のそれからあとは もう覚えていない。ただひ
とつ痛みのように切なく 僕の脳裡に灼きついたものが
あった。
----ほっそりした母の 胸の方まで 息苦しくふさいで
いた白い僕の肉体
----

 

  

 (作者註:「淋しい 光りの粒々だったね」は
  詩集「幻・方法」に再録のとき、「つめたい光の
粒々だったね」に改めました)

 

   
吉野 弘

「現代詩文庫」思潮社

 
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上野公園のあと 神田の「磯丸水産」で一休みしました。

2021年04月09日 | 食べる飲む

先月の14日 上野の都立美術館で友人の長谷川さんの水墨画を鑑賞した後、上野公園にくればいつもよる精養軒に行きました。

その日は日曜日の上野公園とあって精養軒は30分待ちでした。仕方なく神田に出ました。目指した北口の天狗はクローズで、営業している

昼のみが出来る店は「磯丸水産」が目に入りました。関西で慣れた「スルメの天ぷら」と言う品名ではなく「さきイカの天ぷら」と

白菜の漬物で軽く一杯飲んで帰りました。突き出しに 干物の炙り物も3品あるのでアテとしてはこれで十分でした。

 さきイカの天ぷらには必ず青海苔がかかっているのがまだ慣れません(笑)。

 

 

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