阿智胡地亭のShot日乗

日乗は日記。日々の生活と世間の事象記録や写真や書き物などなんでも。
  1942年生まれが東京都江戸川区から。

東日本大震災が起こった翌年の [ 2012年06月09日(土)の阿智胡地亭の非日乗ブログ ] 再掲載

2024年07月10日 | 東日本大震災ブログ
2012年06月09日(土)

国論を二分しているという自覚は原子力マフィアにもあるらしい

テレビの画面で野田さんは、官僚が書いた大飯原発再稼動の文章をためらいなく読み上げた。

「国論を2分している大飯原発の再稼動」という言葉が何回か出てきた。

そして、福島原発事故時と同等の地震と津波が大飯にきて、全電源が切れても、メルトダウン事故は起こらないことが確認されたという。

しかしその裏付けには一切言及しなかった。

表明演説のあとの記者の質問は、

読売新聞の記者のヨイショ目的の太鼓持ち質問と、日本テレビの記者の大飯原発とは別の政局がらみの質問がNHKテレビに流れて、そこで放送はスタジオに戻ってしまった。

司会者は最初、質問者は挙手をして当てられたら、所属先と氏名を名乗ってくださいと言った。

しかし日本テレビの記者のときは、自ら後藤さんどうぞとポロリと言ってしまった。

原発促進を旗印にして40年、これまで原子力ムラ大本営報道部の役割をきっちり果たしてきた読売新聞と日本テレビ。

首相の記者会見は内閣官房のお役人たちと、読売グループが書いたシナリオ通りの舞台回しで進んだ。

猿芝居を見せられているにしては、肥満体の猿が主役をはる芝居ではあった。

下の図は地球上の火山帯の上に、原発の所在地を重ねたマップだ

原子力発電所は本来、日本列島に作ってはいけなかった。今からでも廃炉に持って行かなければならない。赤いスポットが原発所在地。青は火山帯。



☆今年三月十一日の天皇陛下のお言葉から部分引用;

「さらにこの震災のため原子力発電所の事故が発生したことにより、危険な区域に住む人々は住み慣れた、そして生活の場としていた地域から離れざるを得なくなりました。

再びそこに安全に住むためには放射能の問題を克服しなければならないという困難な問題が起こっています。」

放射能の問題はまだ克服のメドも見えていない。

☆『原発』と『沈滞』、その先の未来
高村 薫

「この寄辺のなさから脱却するために」

今回の震災後に思ったのは、日本人は基本的に善意に満ちた人たちが多いんだなあということです。被災者も我慢をし、非被災者は善意を持って手を差し伸べている。

もっとザワザワしてもおかしくないのに、ザワザワしない。

我慢と善意が寄り添って、静かに沈滞している感じです。

善意の共同体に、今の政治や企業が甘えている。それが日本です。

私たちは共同体のよさをそのままにして、その上にもう一つ賢くなることだと思います。どこに問題があり、何がまずいのか。目の前の現実を見つめ、怒るときは怒らなければならない。

今回はそれがありません。

政治家なんて誰でもいい、なんとかなるさとなめていたのだと思います。でも、なめていても、耐えていても、よりひどいことになります。

それでは未来が見えてきません。未来が見えてくる社会にならなければ、それは復興したとは言えないのです。

最終部分のみ引用。
(月刊誌『いきいき』平成23年6月号20頁) 



話の組み立ても奇妙で倫理感もない野田さんの意見表明

思慮深さを欠く野田総理の「再稼働表明
政治 / 2012年06月09日 保坂展人のブログから引用

野田総理が「大飯原発の再稼働」を自らの政治判断として表明した。 その内容は「原発を止めたままでは日本の社会は立ちゆかない」と強調。「(関電管内が)計画停電になれば、命の危険にさらされる人、働く場がなくなってしまう人も出る。国民生活を守る。私がよって立つ唯一絶対の判断の基軸だ」とし、再稼働した場合の安全面では、専門家による議論を重ねたと説明し「福島を襲ったような地震、津波が起きても事故を防止できる」と断言した。

周辺自治体が求める夏場限定の再稼働にとどめる可能性は「夏限定では国民の生活を守れない」と否定したと伝えられている。そこに、論理性や科学性、また高度な倫理的課題に向かいあう姿勢は感じられず、電力会社と原子力ムラに親和性がある過去の政治家像を超えるものは何もなかった。

「消費税」と「TPP」、そして「再稼働」に「不退転の決意」で突き進む野田総理だが、多くの国民が「3・11」からの1年間で「政府の発する情報」「総理大臣の表明」など過去に権威と実効性のあったメッセージの「読み方・聞き方」を学習し、たとえメディアが「再稼働しかない」という論調で最大限の援護射撃をしても、本質を見抜く力(メディア・リテラシー)が格段と向上しているということを野田総理は意識していない。

ただし、数日後に思い知ることになるだろう。今や、1年前とうって変わって「原発再稼働」に対して多くの国民が懐疑的だ。それは、大飯原発に施されている「安全対策」が、防潮堤や免震重要棟、ベント時に放射性物質を除去するフィルターもこれから工事を急ぐという状態。万が一の事故の時に「司令塔」になるオフサイトセンターも、海抜の低い所にあり津波が来れば、機能しない。

詳しくは「大飯原発の再稼働に私が反対する理由」(4月14日 保坂展人のどこどこ日記)

こうした疑問点が解消されていない点に多くの人々が「慎重を期すべき」と考えていることに注目する。野田総理の「再稼働表明」は、こうした多くの問題意識に到達することもなく、思慮深さに欠け、「3・11」以後のテレビで原発の安全性をとうとうと述べて、その後にすべて「デタラメ」だと判明し画面から消えた原子力ムラの影響下にあるかのように、「計画停電から国民を守る」というロジックに、多くの人々は落胆し、見切りをつけるのではないか。

「消費増税」ばかりが全面に出ているが、「再稼働」の強行と相まって、野田政権の求心力は一挙に弱まる。民主党の中でも、良心的な人々が「再稼働」に異議申し立てしているのは当然の動きで、与野党を超えて、国民世論の問題意識と噛み合う議論がなされることを切に望みたい。

また、全原発停止で高まった代替エネルギーへの転換、そして真実の電力需給情報の開示など、新たな脱原発依存に道を開く動きをここで止めてはならないと思う。

[参考引用](東京新聞)

確証なき安全宣言 「大飯再稼働すべき」 首相、来週にも決定

2012年6月9日 07時04分

野田佳彦首相は八日、官邸で記者会見し、関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町)に関し「再稼働すべきだというのが私の判断だ」と表明した。東京電力福島第一原発事故の原因究明が途上にもかかわらず、首相は夏の電力確保や原発の継続性を重視。福井県の理解を得る前に最終決断の意思を示す必要があると判断した。国民に広がる安全への不安を解消できないまま、政府は再稼働に突き進み、来週にも最終決定する。 

首相は再稼働の必要性を「原発を止めたままでは日本の社会は立ちゆかない」と強調。「(関電管内が)計画停電になれば、命の危険にさらされる人、働く場がなくなってしまう人も出る。国民生活を守る。私がよって立つ唯一絶対の判断の基軸だ」と述べた。

再稼働した場合の安全面では、専門家による議論を重ねたと説明し「福島を襲ったような地震、津波が起きても事故を防止できる」と断言した。

周辺自治体が求める夏場限定の再稼働にとどめる可能性は「夏限定では国民の生活を守れない」と否定した。

大飯原発以外の再稼働方針は「個別に安全性を判断していく」と述べるにとどめた。

福井県の西川一誠知事は首相の会見を評価し、十日に再稼働の安全性を検証する県原子力安全専門委員会を開く。同委と県議会、おおい町の意見を聴き、再稼働の同意を判断する。政府は知事の同意を受け、首相と関係三閣僚の会合で再稼働を最終決定する。

東京電力福島第一原発事故を受けた緊急安全対策により、重大事故は起きないはずだから、「念のため」の対策はとりあえずなくても大丈夫-。

政府が強調する大飯原発の安全性とは、この程度のものだ。崩れた「安全神話」への逆戻りそのものだ。

完了したのは、非常用の電源や冷却ポンプの多様化など必要最小限の対策までだ。

実際の事故のとき、被害をどう最小限に抑えるか、これらを検証する安全評価(ストレステスト)の二次評価は、関電を含め一社も評価をしていない。

政府は、再稼働を優先し、重要な対策でも時間のかかるものは先送りを認めた。

まずは免震施設。福島の事故では最前線基地となり、現在も現地対策本部が置かれている。「あれがなかったら、と思うとぞっとする」。東電の清水正孝前社長が八日の国会事故調でこう語った施設だ。それでも当初の放射能防護は不十分で、作業員たちを十分には守れなかった。

だが、大飯原発にはそれもなく、整備は三年先のこと。不十分な代替施設でしのぐしかない。

福島では、格納容器の圧力を下げるため汚染蒸気を外部放出するベントを迫られた。

大飯原発の格納容器の容量は、福島第一の数倍あるが、ベント設備がなく、放射性物質を除去するフィルターもない。これも設置は三年ほど先という。

福島では、原発の熱を海に逃がす海水ポンプが破壊された。ポンプを守る防潮堤が大飯原発にも造られるが、来年度のことだ。

原発の外も、重要な問題が山積みだ。

大津波が来れば、海近くの低地にある大飯や高浜原発の両オフサイトセンター(OFC)はひとたまりもない。政府は福井県内に敦賀、美浜両原発のOFCがあるから、とのんびり構えている。

放射能汚染が広域に及んだ反省から、重点防災区域を原発の半径三十キロに拡大する方針が既に出ているが、モニタリングポストの設置や安定ヨウ素剤の備蓄も遅れている。福井県の住民避難計画も、隣の滋賀県や京都府と連携せず、県内にこだわった柔軟性のない計画のままだ。

こんな状態で安全と言えるのか。「国民生活を守る」と言いながら、原発事故が起きれば、多くの人の生活が脅かされる。ほんの一年前の苦い記憶を忘れている。 (鷲野史彦)

<西川一誠福井県知事のコメント> 野田首相から原発に対する政府の基本的な考えと、首相の強い思いを国民に向けてしっかり語っていただいたと重く受け止めている。大飯原発の運転再開の判断では、福島のような事故を絶対に起こさせないとの強い決意で臨みたい。県原子力安全専門委員会、おおい町、県議会の意見を聴き、県として判断する。

[引用終了]


冤罪を防ぐ制度を考えるとき

神戸新聞 社説
女性殺害再審/冤罪防ぐ制度を考える時 
(2012/06/08 10:43)

東京・渋谷で起きた東京電力女性社員殺害事件で、東京高裁は無期懲役が確定しているネパール人ゴビンダ・プラサド・マイナリさんの再審開始を決定し、刑の執行を停止した。

再審請求審でのDNA鑑定から、真犯人の存在に直結する結果が出ており、高裁は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たる」と結論付けた。冤罪(えんざい)の可能性が高く、当然の判断である。

東京高検は決定を不服として異議を申し立てた。これ以上時間をかけず、再審による真相究明を最優先すべきだ。

事件は1997年にアパートの空き部屋で起きた。首を絞められた女性の遺体が見つかり、彼女と顔見知りで現場の近くに住んでいたマイナリさんが強盗殺人容疑で捕まった。

犯行を裏付ける明確な証拠はなく、本人も否認を貫いている。

一審は「第三者が現場にいた可能性がぬぐえない」として無罪を言い渡した。二審は同じ証拠に基づきながら逆転の無期懲役とした。最高裁が上告を棄却したため、弁護側が再審を求めていた。

後に無罪が確定した足利事件の再審決定が、高裁の姿勢を変えたといえる。

証拠開示を高検に求め、最新技術による鑑定を促した。その結果、被害者の体内に残された精液から第三者のDNA型が検出され、現場にあった体毛と一致した。ほかの証拠の鑑定結果も第三者の存在を裏付けた。

高裁は「最初からこれらの新証拠が提出されていれば、有罪認定には至らなかった」と断じた。検察は、この批判にどう答えるのか。「公益の代表者」として法と証拠に基づいて犯罪の有無を検討するのが検察の役割のはずだ。

東電事件では、遺体の付着物からマイナリさんとは異なる血液型反応が事件直後の鑑定で出ていた。その事実は再審請求審まで隠されていた。有罪の立件に有利な証拠だけを開示してきた検察の姿勢には、大きな問題がある。

今回は科学鑑定が再審の扉を開いたが、強要や誘導による自白が冤罪を生む懸念はぬぐえない。それを防ぐには、取り調べの可視化と証拠の全面開示を制度化することが不可欠だ。

名張毒ぶどう酒事件や袴田事件など、冤罪が疑われる事件は少なくない。再審が請求されているケースでは、なおさら見直しを急がねばならない。

法曹も誤りを犯す。その前提に立ち、審理の過程と結論を公平厳正にチェックする仕組みを考える時に来ている。


「ヒトの肝臓」がiPS細胞から作り出された

iPS細胞から“ヒトの肝臓”
6月8日 10時55分 NHKニュース

体のあらゆる組織や臓器になるとされるiPS細胞からヒトの肝臓を作り出すことに、横浜市立大学の研究グループが成功しました。
研究グループによりますと、立体構造を持ち血液の流れのある臓器ができたのは初めてです。

この研究を行ったのは、横浜市立大学大学院の谷口英樹教授らのグループです。

研究グループでは、ヒトのiPS細胞を「肝前駆細胞」と呼ばれる肝臓の元になる細胞に変化させたあと、血管を作り出す細胞と細胞どうしをつなぎ合わせる働きを持つ細胞を加えて、数日間、一緒に培養しました。

そして、大きさが5ミリほどに成長した細胞の塊をマウスの体内に移植したところ、血管がつながって血液が流れ始め、ヒトの肝臓と同じようにタンパク質を作ったり薬を分解したりする働きのあることが確認できたということです。

立体構造を持ち、血液の流れのある臓器ができたのは世界で初めてだということで、谷口教授は「立体構造で本物と同じように働く臓器を作ることは、これまでとても難しいとされてきた。今回の方法は細胞が本来持っている臓器になろうとする働きを引き出すやり方だ。臓器作りが進むきっかけになるのではないかと思う」と話しています。


今期で議員を引退宣言した滝法務大臣はまっすぐ物を言う

法相“検察捜査は不十分だった”
6月8日 13時45分 NHKニュース

滝法務大臣は、閣議のあと記者団に対し、平成9年に東京電力の女性社員が殺害された事件で、東京高等裁判所が再審を認めたことについて、元被告の男性を起訴した際の検察の捜査が不十分だったと認めざるをえないという認識を示しました。

平成9年3月、東京・渋谷のアパートで東京電力の女性社員が殺害されているのが見つかった事件で、東京高等裁判所は、無期懲役が確定したネパール人の元被告の男性について、7日、再審を認めました。
これについて滝法務大臣は、記者団に対し、「捜査上の努力をしたと思うが、十分に解明できなかったという意味でも、残念な事件ではなかったかなということだ」と述べました。

そのうえで滝法務大臣は「検察側は、迷いながら起訴するわけではなく、捜査に基づいて自信を持って起訴している。結果的には、足りなかったところがあったのではないかということは、推測として受け取らなければならない」と述べ、元被告の男性を起訴した際の検察の捜査が不十分だったと認めざるをえないという認識を示しました。
 

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