フランス・ブリュッヘンの訃報は、今朝の新聞で接しました。亡くなったのは現地(アムステルダム)時間の8月13日で、享年79歳。近年は、健康状態がよくなさそうで、指揮のためステージに登場するさいも、ちょっとふらついていたのも映像で目にし、心配していたのですが(昨年の日本公演では車椅子で登場していたという)、じっさいに訃報にふれると、やはりショックです。
今年は、大々的なニュースにこそなりませんでしたが、リュート奏者(手の故障で引退)のオイゲン・ミュラー・ドンボワが亡くなり、個人的にたいせつな音楽家をまたひとり失ったと思っていたのですが、まさかブリュヘンもとは。2年前にはグスタフ・レオンハルトが逝去しており、古楽(にはとどまりませんが)をささえた巨匠がまたひとり逝ってしまいました。
個人的な思い入れとしては、指揮者になってからのブリュッヘンより、リコーダー奏者としてのブリュッヘンのほうが強く、バッハの無伴奏フルートのためのパルティータのサラバンドを、ブリュッヘンがリコーダー編曲したもの(「無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV1013 [2]」)をまね、へたくそながらも吹いていたことを思いだします。
しかし、これから追悼として何かきくには、やはり指揮者としてのブリュッヘンでしょう。それでいろいろ迷ったのですが、ここではバッハではなく(バッハはいずれこのブログの本流で)、ベートーヴェンの交響曲全集(2011年録音)から、変ロ長調の第4番(GLOSSA GCDSA 921116)に耳をかたむけることとし、ブリュッヘンの事跡を偲ぶことにします。