生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
福岡 伸一 (著) Amazonで見る
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あ、昨夜TVで見た本だ、と思って買った(偶然です)。著者の写真でわかった。
読み出したらとまらない。面白い。60万部突破
毎日、犬の散歩で山に行く。
名瀬・長浜町から車で数分も登れば
ちょとした峠に達し、山から海も、もちろん空も見える。
林道は亜熱帯の原生林に通じ、四季のない島といわれながらも、
日々微妙に装いを変へつづける。多くの固有の動植物をはぐくみ海とつながっている
亜熱帯の広葉樹林のひろがりは、豊かな生命力がみなぎっていることを四季折々実感させてくれる。
「生命とは何か?」
山の公園を散歩をしてもお金になるわけではないので
写真を撮りながら、ときどき、そおいうことを考えたりします。
この本の 著者はいう
「生命とは動的平衡にある流れである。」P167
「自己複製するシステムである」という定義だけでは十分でない。
読み出したらとまらない。
著者の美しい文学的な表現のわかりやすい文章のせいだろう。
ざっと読んでここまで読んだ。調べもののついでに記事アップ。
が、まだ3分の一残っている。
もちろん著者の専門である分子生物学的な意味での理解は簡単にはできない。
これは777円の新書だ。
「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず 」
というほどに理解して、次に読み進む。
帯の「極上の科学ミステリー」というのは、どうもピンとこない。
しかし分子生物学の周辺のエピソードだけでも十分おもしろい。
奄美をおとづれる、さまざまな分野の若い研究者の方と時々お話しすることが
あるのですが、あ、彼も将来このような本を書く学者になるのだろうなあ
とか、またこの本の著者も若いときは、あの青年のようだったのだろうなあ
などと思いながら読むのである。
こどものころから野山や海で遊んだ経験から研究をつづけているひとの
お話は、素人が聞いても非常におもしろいのです。
さて、本書の、「動的平衡」についての説明では、
次のような比喩が出てくる。
砂上の楼閣
遠浅の海辺。砂浜が緩やかな弓形に広がる。
海を渡ってくる風が強い。
空が海に溶け、海が陸地に接する場所は、生命の謎を解く何らかの破片が散逸しているような気がする。
だから私たちの夢想もしばしばここからたゆたい、ここへ還る。
あとは、ここに建つ、砂の城を形作っていた砂粒は、入れ替わりながらも、楼閣は確かに存在している・・・とつづく。珊瑚の比喩もある。
この比喩を通して、
「生命とは要素が集合してできた構成物ではなく、要素の流れがもたらすところの効果なのである」
と説く。
仏教的だ。
はやく次が読みたい。
本を読んでからTVを見たらもっとおもしろかったのに、と思う。